• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

アボレンゴ牧場&バカシオン牧場 2019年産馬セール【結果】

写真:ARG-SALES

https://www.arg-sales.com/caballos/view/6677


 ARG-SALES で開かれた『アボレンゴ牧場&バカシオン牧場 2019年産馬セール』が3月28日に締め切られた。上場予定だった88頭から2頭が上場を取り止めて86頭となった。そのうち84頭が売却され、5頭に10万ドル以上の値がつくなど、セールは大盛況のうちに幕を閉じた。結果一覧は こちら を参照してほしい。


本記事では、

① 高額馬

② 良血馬の落札額

③ 一昨年・昨年からの変化

 の3点について述べる。なお、下線のついた馬名をクリックすると、その馬の詳細ページに遷移する。


 

① 高額馬


デサフィアメ(Desafiame) 11万1000ドル


父イークワルストライプス

母デセンペニャーダ(リザードアイランド)


4代母デレペンテ(Derepente)から、ディファレント(Different)が産まれた。ディファレントは、1995年にアルゼンチン年度代表牝馬と最優秀3歳牝馬に輝き、アメリカに移籍してからもGⅠ2勝と活躍した。この馬の半妹がアルゼンチンスターである。つまり、デサフィアメはペルーサの遠戚にあたる。



スエルテディビーナ(Suerte Divina) 10万6500ドル


父フォーティファイ

母ステリファイ(サザンヘイロー)


半姉に2016年のGⅠホルヘ・デ・アトゥーチャと2017年のGⅠエストレージャス・ディスタフを制し、引退後は日本のノーザンファームに輸入されたスクールミストレス(Schollmistress)を持つ。もう1頭の半姉サエッタ(Saetta)はマイル重賞を2勝、半兄シビエラス(Si Vieras)もGⅠで入着がある。



ソイテオロガ(Soy Teóloga) 10万1000ドル


父フォーティファイ

母ストーミーテオロガ(バーンスタイン)


全兄テオディシオジョイ(Teodisio Joy)は2018年のGⅢエンサージョの勝ち馬。GⅠでも連対・入着経験がある。もう1頭の全兄ジョイテオロガル(Joy Teologal)は、チリに渡ってGⅢカルロス・バルデス・Lを優勝した。



エスティーロペルソナル(Estilo Personal) 10万0000ドル


父フォーティファイ

母エリザベッタ(ローマンルーラー)


母エリザベッタ(Elizabetta)はリステッド競走を3勝。しかし、近親に目立ったGⅠ馬はいない。



ダンサオトニャル(Danza Otoñal) 10万0000ドル


父フォーティファイ

母ドローレ(ジャンプスタート)


3代母ドリール(Doryl)からフォーティードリアーナ(Forty Doriana)、ディオニシオトム(Dionisio Tom)という2頭のGⅠ馬が産まれた。フォーティードリアーナは直線1000mのGⅠを3勝し、2003年のアルゼンチン最優秀短距離馬に選出された。ディオニシオトムも2000年にGⅠエストレージャス・スプリントを優勝した。この牝系からは多くの重賞馬が誕生している。


 

② 良血馬の落札価格


 各馬の血統背景に関しては、以前書いた『アボレンゴ牧場&バカシオン牧場 2019年産馬セール』を参照のこと。


キャティーソウル(Caty Soul) 9万5000ドル

イングッドシェイプ(In Good Shape) 9万5000ドル

ディープビューティー(Deep Beauty) 9万2500ドル

スーペルブエナオンダ(Súper Buena Onda) 8万2000ドル

トリロヒアロマーナ(Trilogia Romana) 8万1000ドル

ヴァレリーロイ(Valery Roy) 8万0000ドル

グレートヴァリュー(Great Value) 7万5000ドル

コンテッシーノ(Contessino) 6万6000ドル

キープインタッチ(Keep In Touch) 6万0000ドル

シーザフューチャー(See The Future) 5万6000ドル

コオルディナトール(Coordinator) 5万1000ドル

ケアプリンス(Care Prince) 5万0000ドル

エブリオデアモール(Ebrio De Amor) 3万4000ドル


 

③ 一昨年・昨年との変化


 今年のセールは近年まれに見る盛況だった。2019年および2020年の結果については、以下の URL から閲覧することができる。


【2019年】

https://www.turfdiario.com/resumen-gran-venta-selecta-2019-haras-vacacion-y-abolengo/


【2020年】

https://www.turfdiario.com/resumen-gran-venta-selecta-abolengo-vacacion/


 以下は、近3年の最高落札額/上位10頭の平均落札額/上位20頭の平均落札額である。


2019年(1ペソ=0.02ドルで計算)

最高落札額 : 11万2000ドル

上位10頭平均 : 7万2160ドル

上位20頭平均 : 5万7560ドル


2020年

最高落札額 : 12万5000ドル

上位10頭平均 : 6万4750ドル

上位20頭平均 : 5万4975ドル


2021年

最高落札額 : 11万1000ドル

上位10頭平均 : 9万6400ドル

上位20頭平均 : 8万4050ドル


 最高落札額こそ2019年、2020年におよばないが、10頭平均では過去2年と比べて2万5000ドル近い差を、20頭平均では3万ドルもの差をつけているのが分かる。また、昨年は29頭もあった未取引が、今年はわずか2頭ということも注目したい。


 なぜ今年のセールは大盛況だったのか?


 アルゼンチン競馬の経済力が強化されたから、というのは信じがたい。むしろ、昨年はコロナの影響で競馬開催の長期中断やレース賞金の減額といった憂き目に遭い、アルゼンチン競馬界は大きな打撃を受けた。


 2019年産馬が豊作だから、というのは考えられる。アボレンゴ牧場とバカシオン牧場は、アルゼンチンを代表する名門生産牧場である。アルゼンチンを代表する良質なサラブレッドが揃っていることに加え、昨年はアボレンゴ牧場の生産馬がナシオナル(アルゼンチン・ダービー)、カルロス・ペジェグリーニ(南米最大のGⅠ競走)を含むGⅠ4勝と大活躍した。アボレンゴの生産馬に期待が集まるのは当然である。また、バカシオン牧場は、2018年に解散したラ・ビスナーガ牧場から2019年のアルゼンチン最優秀種牡馬フォーティファイを譲り受け、2019年産馬がバカシオン・フォーティファイの初年度であることも大きい。10万ドル以上がついた5頭のうち、4頭がフォーティファイ産駒である。



■ フォーティファイの種牡馬成績。2018年からバカシオン牧場に移った。



 しかし、個人的に強く推測したいのが、まだ全購買者の情報を得ていないため確実なことは言えないが、外国からの購入が増えたということである。


 これまでも外国からの入札はあった。たとえば、2019年のセールでは香港のデニス・ロー氏による購入が目立った。2020年の最高落札額をつけたのはオーストラリアのジャック・ニー氏、2,3番目に高い値をつけたのも南アフリカのジャスティン・ヴェルマーク氏である。また、昨年6万ドルの値がついたサベールコンプレンデール(Saber Comprender)という牝馬は、後に日本に送られ、現在はオオサンバシという馬名で川崎競馬の高月賢一調教師の管理馬となっている。外国馬主、もしくは、現地エージェントを通じた外国馬主からの入札が今年はより活発になり、価格を全体的に押し上げのではないか。購入者情報は分かり次第、追記する。


 南米はセール・シーズンのまっただ中である。セールの情報は随時 note に掲載するので、南米の競走馬に興味がある、南米の馬を買いたいという方は、ぜひチェックしてほしい。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com