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イバール、南米に夢を見せてくれる馬

Paulo Lobo: “Ivar es versátil y su aceleración es realmente impresionante”

https://www.turfdiario.com/paulo-lobo-ivar-es-versatil-y-su-aceleracion-es-realmente-impresionante/

最終閲覧日:2020年10月7日



「クラック(=スペイン語で名人、名手)」の調教師は『トゥルフ・ディアリオ』に対し、シャドウェル・ターフ・マイルSでのイバールの勝利と次走ブリーダーズカップ・マイルについて語った。


 パウロ・ロボは幸せであるということが離れたところからでも伝わってくる。ロボ氏の管理するイバールが、先週土曜日にキーンランド競馬場で行なわれたGⅠシャドウェル・ターフ・マイルSでおさめた大勝利の後では、幸せなのは当然のことである。ブラジル産まれであり、アルゼンチンで大成し、その母系にはチリやウルグアイの血が混ざっているイバールが見せてくれた直線での圧巻の走りを、いまだに何度も振り返ってしまう。この勝利はアメリカの競馬メディアからも称賛を浴びた。


 パウロ・ロボ調教師がトップクラスの競走馬を管理するのはこれが初めてではない。彼はこれまでピコセントラル(Pico Central)、ファルダアミーガ(Farda Amiga)、ガジェゴ(Gayego)といった名馬を手掛けてきた。しかし、ロボ氏はイバールに特別な思いを込めている。「イバールはとても良い馬である。スピードがあり、器用で、1200m、1600m、2000m、いずれの距離でも異なる走りをして対応できるに違いない」


 無観客での開催が続いているため、イバールの衝撃的なパフォーマンスを直に目撃したのは、調教師であるロボ氏と、馬主であるRDIとボンヌ・シャンス牧場のマネジャーを務めるフィゲイレード氏だけだった。この勝利によってイバールは、来月に同じ舞台で行なわれるGⅠブリーダーズカップ・マイルへの優先出走権を獲得した。ロボ氏は今回の走りを振り返った。「スタートはあまり良くなかったが、結果的にそれが吉と出た。ジョー・タラモはそれほど緩やかではない1コーナーを、馬を落ち着かせながらタイトに回ることができた。最終コーナーで私は勝利への期待を持ち始めた。そして、馬が直線を突き抜けてきたとき、その走りは本当に素晴らしかった。まさに一流馬の加速だった」


 ロボ氏によると、イバールの長所は類まれな爆発力にあるが、その力を適切な瞬間に発揮できるようにならなければならない。また同氏は、シャドウェル・ターフ・マイルが常に目標にあったことを明かした。「信じられないかもしれないが、このレースに出走するというのは、2月の時点で描いていたプランだった。しかし、コロナウイルスによって計画に遅れが生じてしまった。イバールのデビュー戦は酷かった。馬がレースに集中していなかった。2戦目にメンコを被せてみた。このレースでは他の馬が行きたがらず、ジョー・タラモはハナを切らざるをえなかった。ペースは遅かった。能力の違いで勝てたものの、思い描いていたレースプランからは外れていた。3戦目、ケンタッキーダウンズ競馬場でのレースでは、私はイバールの走りに感嘆した。スタート直後からずっと先頭争いを演じていたのに、最後の直線でも踏ん張れるエネルギーを残していたのだから。レコード決着の3着に入った。イバールの能力の高さはすでに分かっていたから、土曜日のGⅠ勝利には驚かなかった」


 ロボ氏は続けた。「イバールは素晴らしい馬である。レースごとにどんどんその確信が深まっていく。南米競馬の本当のレベルはどうなのかと、常に疑問に思われている。そして、南米の馬がアメリカで走るまで、その疑問が晴れることはない。しかし、イバールがアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場でGⅠグラン・クリテリウムを勝った日、キーンランドで我々が見たのと同じことをやっていた。私が常に言っているのは、南米馬の能力をアメリカでも引き出すには、時間と適応力と忍耐力が欠かせないということである」


 アグネスゴールドの産駒は、日曜日、月曜日、火曜日と軽い運動をするにとどめ、予定では今週末に調教に戻る。ロボ氏は次なる目標に集中している。「レース後も元気で、食欲があり、とても快適に過ごしている。ブリーダーズカップ・マイルは非常に厳しいレースになるだろう。これまでの比じゃないほど難しいレースになる。ヨーロッパからも何頭か素晴らしい馬が出走してくる。しかし、見るにも競うにも楽しみなマイル戦になるだろう。イバールは成長途上で、徐々に完成形に近づいている。まだ4歳になったばかり。ここでは『新参者』である」


 パウロ・ロボはイバールと夢を見ている。そして、イバールは南米にブリーダーズカップ制覇という夢を見させてくれる。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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