
木下 昂也(Koya Kinoshita)
ウィルテイクチャージとミッドシップマンがシャトル種牡馬としてウルグアイで供用される
ブラジルを本拠地とするフィリップソン牧場は、今年からウルグアイの拠点でウィルテイクチャージ(Will Take Charge)とミッドシップマン(Midshipman)を種牡馬として導入することを発表した。シャトル種牡馬としての契約で、2021年末までウルグアイで供用される。
フィリップソン牧場は、ベンジャミン・シュタインブルッフ氏が運営するブラジルの生産牧場である。ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、アメリカに拠点を持っていたが、アルゼンチンの競馬開催状況が不安定なため、昨年よりアルゼンチンの資源をウルグアイに移した。生産馬には、2012年のGⅠカルロス・ペジェグリーニを勝ったゴーイングサムウェア(Going Somewhere)や、2019年の同GⅠを制したナオンダマイス(Não Dá Mais)がいる。
父にアンブライドルズソングを持つウィルテイクチャージは、2013年にGⅠトラヴァーズSとGⅠクラークHを優勝し、その年のエクリプス賞最優秀3歳牡馬に選出された。2014年のGⅠホイットニーSで3着を最後に現役を引退し、ケンタッキー州のスリー・チムニーズ・ファームで種牡馬入りした。2020年もウルグアイ・フィリップソン牧場にシャトルされて56頭の牝馬と種付けを行なっており、2年連続でウルグアイで供用されることになった。
同じく父にアンブライドルズソングを持つミッドシップマンは、2008年にデルマー・フューチュリティーS、BCジュヴェナイルと2歳GⅠを2勝し、その年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選出された。2010年に現役を引退すると、2011年からダーレーで種牡馬となった。ミッドシップマンと南米とのつながりは深く、これまでブラジルとチリにシャトルされたことがある。ブラジルでは、2019年の2歳牝馬GⅠジョアン・セシーリオ・フェハスを優勝したツウィート(Tweet)、2019年のGⅠエスタード・ド・ヒオ・ヂ・ジャネイロの勝ち馬で、アメリカに移籍してGⅡカリフォルニアンSを勝利したロイヤルシップ(Royal Ship)、2020年のGⅠゼリア・ゴンザーガ・ペイショット・ヂ・カストロを制してマイスキボニータの牝馬3冠を阻止したタンガニーカ(Tanganyka)と、3頭のGⅠ馬を輩出した。チリでも、スチェソ(Succeso)が今年のGⅠクルブ・イピコ・デ・サンティアゴを優勝し、BCマイルの優先出走権を手に入れた。南米3ヶ国目となるウルグアイでも活躍が期待される。
ウルグアイでは今年2月に、クアトロ・ピエドラス牧場を中心とした生産牧場の連合がケンタッキー・ダービー馬オーブ(Orb)を購入した。オーブ、ウィルテイクチャージ、ミッドシップマンの3頭が、間違いなくウルグアイ生産界を1つ上のステップに上げる。
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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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