• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

オーペンについて学ぶ会

 2021年1月26日、アルゼンチンのカランパンゲ牧場で種牡馬として供用されていたオーペン(Orpen)が疝痛のため25歳で亡くなった。高齢馬でありながら、2020年も順調に種牡馬生活を送っていたオーペンの突然の訃報は、アルゼンチン競馬界に大きな衝撃を与えた。今回はアルゼンチンのみならず、南米でもっとも優れた種牡馬の1頭と称され、サトノダイヤモンドの母父としても有名なオーペンのアルゼンチンでの活躍を振り返る。



種牡馬(父として)


 オーペンが初めてアルゼンチンの地を踏んだのは2004年。ブエノスアイレス州にあるラ・エスペランサ牧場で種牡馬として供用された。翌2005年からは同じくブエノスアイレス州のカランパンゲ牧場に移動し、以後亡くなるまで主に同牧場で繋養された。


■ カランパンゲ牧場のHPにはオーペンのページがある。



 アルゼンチン・スタッドブックによると、同国ではオーペンの産駒が16世代、1491頭産まれている。これはキャッチャーインザライの1334頭、サザンヘイローの1294頭、イークワルストライプスの1283頭などを超えてアルゼンチン最多産駒数である。1491頭のうち809頭が競走馬としてデビューし、586頭が勝利をあげた。アルゼンチンでの通算成績は7839戦1351勝(17.2%)。なお、今回載せた数値はいずれも2021年1月27日までのものであり、データ更新によって増えていく。


 オーペン産駒の重賞馬は41頭おり、うちGⅠ馬は16頭で計25勝。国外でのGⅠ勝ち馬を含めると22頭に達する。


☆ オーペン産駒のGⅠ馬

リンゴーテデオロ(Lingote De Oro)

ピンボールウィザード(Pinball Wizard)

マルペンサ(Malpensa)

エモーションオーペン(Emotion Orpen)

ララグーナアスール(La Laguna Azul)

ドニャレイ(Doña Ley)

フィールザレース(Feel The Race)

ソロウンモメント(Sólo Un Momento)

サバジョン(Sabayón)

アトミカオロ(Atómica Oro)

ドンバリエンテ(Don Valiente)

ドンペダル(Don Pedal)

トゥルーパッション(True Passion)

エンダイア(Hendaia)

イルフォルナイオ(Il Fornaio)

エナク(Enak)

レディーペルーサ(Lady Pelusa) ※チリGⅠ

トーレストレージャ(Torrestrella) ※フランスGⅠ

ヴォルダ(Vorda) ※イギリスGⅠ

ウォーアーティスト(War Artist) ※南アフリカGⅠ

プライヴェートジェット(Private Jet) ※南アフリカGⅠ

ロックスオフ(Rocks Off) ※南アフリカGⅠ


 オーペンは2010年に719戦131勝(GⅠ4勝)という活躍を見せ、アルゼンチン最優秀種牡馬に選出された。近年も高齢種牡馬ながら、2018年603戦89勝GⅠ1勝(獲得賞金:11位 勝利数:12位)、2019年625戦110勝GⅠ2勝(獲得賞金:3位 勝利数:7位)、2020年350戦54勝GⅠ3勝(獲得賞金:3位 勝利数:6位)と優れた成績を残し、アルゼンチン競馬における同馬の存在感はまったく薄れていない。


 2019年は99頭に種付けし、2020年に55頭が産まれている。また、アルゼンチンの競馬メディア"Turf Diario"によると、2020年も100頭前後と種付けし、80頭ほどがオーペンの仔を受胎しているという。2021年に誕生するこれらの産駒が、オーペンのラストクロップとなる。


■ 種付け数と誕生数を記した表。Servicio が種付け数、Nacimiento が誕生数



種牡馬(母父として)


 オーペンはブルードメアサイアーとしても3912戦509勝と際立った成績を残している。アルゼンチンでのGⅠ馬は8頭で計8勝。海外を含めると、13頭のGⅠ馬の母父となった。そのうちの1頭が、日本のサトノダイヤモンドである。


☆ 母父にオーペンを持つGⅠ馬

ナッシュヴィルテクサン(Nashville Texan)

エンプレスジャッキー(Empress Jackie)

プエルトレアル(Puerto Real)

テターセ(Tetaze)

クレイジーアイコン(Crazy Icon)

グレタヘ(Greta G)

マリニャック(Marignac)

スコティッシュスター(Scotish Star)

ドクタードゥーム(Doctor Doom) ※オーストラリアGⅠ

ルックペン(Look Pen) ※チリGⅠ

ロバートブルース(Robert Bruce) ※チリGⅠ

ジョフラ(Giofra) ※イギリスGⅠ

サトノダイヤモンド(Satono Diamond) ※日本GⅠ


 2018年は698戦86勝(獲得賞金:9位 勝利数:9位)、2019年は1004戦143勝(獲得賞金:4位 勝利数:4位)、2020年は541戦57勝(獲得賞金:1位 勝利数:6位)と、父としても母父としてもリーディング争いを演じ、オーペンの活力の強さが分かる。とりわけ2020年の活躍は目覚ましく、競馬の南米選手権GⅠラティーノアメリカーノを勝ったテターセ、アルゼンチン1000ギニーを圧勝してアメリカに移籍したスコティッシュスター、アルゼンチン2冠目を制したマリニャックと3頭ものGⅠ馬の母父となった。



日本との関係


 サトノダイヤモンドの母マルペンサがオーペンの産駒であるように、日本にもオーペン産駒の繁殖牝馬が輸入されている。


☆日本にいるオーペン産駒の繁殖牝馬

アトミカオロ(Atómica Oro)

クイーンズアドヴァイス(Queen's Advice)

フィールザレース(Feel The Race)

プラジャデシエルタ(Playa Desierta)

ベラルーサ(Belarusa)

マサイマラ(Maasai Mara)

マルペンサ(Malpensa) 2016年4月13日 死亡


 サトノダイヤモンドに加え、これら牝馬の産駒から種牡馬になるような名馬が誕生し、オーペンの血が日本でも繁栄することを切に願っている。


----------

木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com