• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

コイツは走るぞ、2018年産南米馬

 強い馬を後から「あの馬は強いぜ」や「あの馬が強いのはデビュー前から分かってた」というのは簡単なことです。たとえば、今さら「コントレイルはめっちゃ強いから注目したほうがいいよ」と言ったところで、そんなことすでに1億人は知っているだろうし、「俺はコントレイルの素質を1歳馬のときから見抜いてたんだぜ」とドヤったところで、しょせん後出しジャンケンにすぎません。しかし、本当にデビュー前から「あの馬は将来強くなるから注目しておけ」と予言しておいて、実際もの凄く強い馬になったら自慢できます。尊敬に値します。しかも、この予言の美味しいところは、たとえその馬が未勝利で終わるなどして予想が外れたとしても、「馬は難しいね」の一言で済ませられる点です。


 というわけで、今回は「コイツは絶対に活躍する!」と期待している2頭+1頭の南米2歳馬(2018年産馬)を紹介します。もしかしたら、南米から世界に羽ばたいてくれるかもしれません。



■ ニポンジョイ(Nipón Joy)


 ニポンジョイは2018年9月15日にアルゼンチンのサンタ・イネス牧場で産まれた牡馬です。しかし、2020年10月にチリに輸出されているので、チリで競走生活を始めると思われます。なぜこの馬をオススメするかというと、アルゼンチン随一の『走る血統』だからです。


 母母母ニポーナ(Nipona)は、GⅠ馬アキーロ(Akiro)、GⅠ2着のザジャップ(The Jap)に加え、ストーミーニルヴァーナ(Stormy Nirvana)とニッポントス(Nippon Toss)という2頭の重賞馬を産んだ名繁殖牝馬です。ちなみに、ニポーナはスペイン語で「日本の、日本人女性」という意味があり、ニポーナに繋がる血統の馬は日本絡みの名前を持つことが多いです。


 ニポーナの8番目の産駒である母母サウスニーナ(South Nina)は、現役時代は未勝利でした。しかし、名門ラ・ビスナーガ牧場で繁殖牝馬となると、ストーミーニーナ(Stormy Nina)、ストーミーニンブル(Stormy Nimble)、ストーミーニングナ(Stormy Ninguna)と3頭ものGⅠ馬を産みました。


 そのうちの1頭である母ストーミーニンブルも、アルゼンチン・オークスを勝ったナスティア(Nastia)、GⅠ好走歴のあるニクソンジョイ(Nixon Joy)、ハットトリック産駒の重賞3勝馬ハットニンジャ(Hat Ninja)、GⅡ馬ジョイニデーラ(Joy Nidera)と、活躍馬を続々輩出しています。


 さらに、ニポンジョイの父フォーティファイ母父バーンスタインという血統は、2020年にはもっとも勝ち星をあげ、2019年には最多賞金を獲得した組み合わせです。つまり、アルゼンチンのニックスです。


 走る母系、走る組み合わせ。ニポンジョイには活躍の保証書がついています。もしニポンジョイが走らなければ、それは馬が弱かったからでも僕の予想が間違っていたからでもなく、世界情勢が上手く回っていなかったせいでしょう。



■ オックスフォードガール(Oxford Girl)


※PESQUISAR ANIMAL... に Oxford Girl と入力し、右下にある青いボタン Pesquisar をクリックしてください。


 王者候補がニポンジョイなら、女王候補はオックスフォードガールです。オックスフォードガールは2018年8月1日にブラジルのフィゲイラ・ド・ラゴ牧場で産まれました。この馬もまた血統が素晴らしい。


 父アグネスゴールドはブラジルのリーディング・サイヤー。産駒のイバール(Ivar)がアメリカGⅠを制したように、世界の一流馬を相手にしても勝負できる能力を持った仔を輩出できる活力の持ち主です。また、南米GⅠを勝った産駒は牡馬が4頭、牝馬が7頭。牡馬による南米重賞勝ちが20勝、牝馬は37勝と、牝馬で大物を出す傾向にあります。牝馬のアグネスゴールド。アグネスゴールド産駒で期待するなら牝馬です。


 オックスフォードガールの母母母ジョイヴァレー(Joy Valley)は、2020年11月に亡くなりましたが、訃報を伝えるブラジル・スタッドブックの記事では「ブラジル競馬史上最高の繁殖牝馬の1頭」と称されました。2番目の産駒で母母ヒボレッタ(Riboletta)はサンパウロ・オークス馬に輝いただけでなく、アメリカに移籍してGⅠ5勝をあげ、2000年のエクリプス賞最優秀古牝馬に選出された世界的名牝です。また、ヒボレッタの半弟スーパーパワー(Super Power)は2000年にブラジル3冠を達成しています。


 ヒボレッタがアメリカで産んだメイビーサンデー(Maybe Sunday)という牝馬は、ブラジルに繁殖牝馬として輸入されました。このメイビーサンデーが、オックスフォードガールの母にあたります。メイビーサンデーの産駒には、つまり、オックスフォードガールの半兄には、2018年のブラジル・ダービー馬オリンピックハノイ(Olympic Hanoi)、サンパウロ・ダービーで2着、ブラジル・ダービーでも3着になったオリンピック・イプスウィッチ(Olympic Ipswich)がいます。


 父はブラジル最高の種牡馬と称されたアグネスゴールド、母母母はブラジル競馬史上最高の繁殖牝馬ジョイヴァレー、母母はブラジル競馬史上最高の牝馬ヒボレッタ、そして半兄はブラジル・ダービー馬、というのがオックスフォードガールの血統背景になります。おそらく、現在のブラジル競馬で考えられる最高の血筋です。オックスフォードガールが走らないなんてことがあるでしょうか。あったとしたらそれは、以下同文。



■ ブリジャンテオーナー(Brillante Honor)


 もう1頭応援したいのがブリジャンテオーナー(Brillante Honor)という牡馬です。ブリジャンテオーナーは2018年7月26日にウルグアイのピラール牧場で産まれました。父はオーナーアンドグローリー(Honor And Glory)母のブリジャンテオーケー(Brillante OK)は、2017年にウルグアイのエリザベス女王杯にあたるGⅠシウダー・デ・モンテビデオを優勝しました。


 ブリジャンテオーナーはウルグアイ産馬ですが牝系はアルゼンチン由来です。しかも、アルゼンチンの超名血です。6代母フィリピーナは、テレフォニコ、ターバ、そしてアルゼンチン4冠馬テレスコーピコを産んだ伝説の繁殖牝馬です。アメリカGⅠ2勝のターコマン(Turkoman)、日本のノーブルマーズなども遠戚にあたります。


 フィリピーナの血統が好きなので応援します、という浅い理由での選出をお許しください。



 この他にも期待できる馬、応援したい馬は数多くいますが、ニポンジョイとオックスフォードガールを、2018年産南米馬の2代巨頭として推したいと思います。まずは、怪我なく病気なくトラブルなくデビューを迎えてほしいです。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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