• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

スペイン・オークス/ダービーを展望

 6月5日、マドリードにあるサルスエラ競馬場で、カテゴリーA競走ベアモンテ(芝2400m - 3歳牝馬)と、カテゴリーA競走ビリャパディエルナ(芝2400m - 3歳)が行なわれる。前者はスペインのオークスにあたり、後者はダービーに相当する。



ベアモンテ(日本時間:午前3時40分)


 ベアモンテには11頭が出走する。1番人気濃厚なのが、リカルド・ソウザ騎乗のマラカイ(Maracay)である。ルーラーオブザワールドを父に持つこの牝馬は、5月2日にサルスエラ競馬場で行なわれたカテゴリーA競走バルデラス(1000ギニー)の勝ち馬である。通算成績は4戦3勝。距離さえ問題なければ、2冠達成は堅いと言っていい。


 スペイン競馬史上、牝馬2冠を達成した馬は14頭いる。1961年フォリー、1962年トカーラ、1964年グローリア、1966年エウレカ、1967年ラスカンダロッサ、1971年ハスミンクアルタ、1973年ペンタゴナ、1980年エリーナ、1987年テレーサ、1990年ロベルティーヤ、1992年ドゥベルタ、1996年スア、2007年ゴールディングスター、2008年ラガレルナである。マラカイが達成となれば、13年ぶり15頭目となる。


  1000ギニーで3着だったペラルタ(Peralta)、4着だったアデイライトダンサー(Addaylight Dancer)も忘れてはいけないが、着差、実績、距離適性からマラカイを逆転できるとは思えない。


 ここにきて急浮上してきたのが、ハイメ・ヘラベルト騎乗のライトニングムーン産駒コピータデカバ(Copita De Cava)である。デビューしたのは3月14日。ここでは3着に敗れたが、勝ち馬はビリャパディエルナの有力候補であるシンセレホであり、着差はわずかに3/4馬身だった。キャリア2戦目となった前走は芝2000mのレースを走り、2着に4 1/2馬身差をつける完勝で初勝利をあげた。成長力、距離適性を考えれば、いっきに世代の頂点に登りつめてもまったく不思議ではない。


 フランスで開業しているスペイン人調教師マウリシオ・デルシェールが送りこむマカレーナ(Macarena)にも注目である。本馬の母は日本産まれのディープインパクト産駒アクアマリンである。未勝利馬だが、鞍上にオリビエ・ペリエを迎えた本気度がうかがえる。


【筆者予想】

◎ コピータデカバ

〇 マラカイ

▲ マカレーナ

△ アデイライトダンサー


■ 出馬表



ビリャパディエルナ(日本時間:午前4時15分)


 ビリャパディエルナには13頭が出走する。ダービー制覇にもっとも近いのが、オーストラリア産駒のダンコ(Danko)である。同馬を所有するのは、レアル・マドリードに所属するアルバロ・オドリオソーラ。2000ギニーには出走せず、ビリャパディエルナ一本に絞ったローテーションが組まれてきた。今年初戦となった4月11日のサルスエラ競馬場芝2100mのレースでは、他馬より3kgも重い斤量を背負いながら勝利した。前走はビリャパディエルナの前哨戦である芝2200mのカテゴリーB競走ベラーヨスに出走し、シンセレホの2着に敗れたが、ここも斤量差が2kgあったことを考えれば上々のパフォーマンスだったと言える。鞍上にはフランスからオリビエ・ペリエを招聘する。


 前哨戦でダンコを負かしたシンセレホ(Sincelejo)は、父アドラーフルク、母父ダイヒムダイヤモンドという血統である。この馬も2000ギニーには出走せず、ダービーを目標に調整されてきた。ここまで3戦して2勝、2着1回。ダンコとは2度戦い、1勝1敗。大舞台で決着をつけたい。ポルトガル人騎手リカルド・ソウザはビリャパディエルナ初制覇を狙う。


 ダンコとシンセレホがスペイン代表ならば、フランス代表はデイシャン(Dayshann)である。父はゴールデンホーン、生産はアガ・カーン殿下。近親にダラカニ・デイラミを持つ超良血馬であり、フランスでは4戦1勝という成績をあげた。その1勝は、直線大外を追い込んで2着に3馬身差をつける快勝と、能力の高さは折り紙つきである。4月16日のレースを最後に、フランスからスペインのクリスティアン・デルシェール厩舎に移籍した。手綱を握るのはハイメ・ヘラベルト。弱冠24歳ながら2016年ネンケテーバ、2019年アクシオコ、2020年アブとビリャパディエルナをすでに3勝しており、デイシャンで前人未踏の3連覇を狙う。


 2歳時は3戦3勝だったがこのところ不調のドミゴー(Domi Go)、馬運車火災の生存馬メキシコシティー(Mexico City)にも注目したい。


 なお、5月2日のカテゴリーA競走シメーラ(2000ギニー)の勝ち馬ワッツアップ(What's Up)が、マイル路線に向かうためビリャパディエルナを回避し、2冠馬、3冠馬誕生の可能性はすでにない。過去2冠を達成した馬は10頭いる。1952年のアユーコ、1967年のマスパローマス、1975年のデュアルシー、1977年のマネ、1978年のバリローネ、1979年のトゥクマン、1983年のサルドゥエンド、1989年のライェグア、1995年のマドリレーニョ、2014年のアルカイツである。そのうちデュアルシーとアルカイツが3冠を達成した。


【筆者予想】

◎ デイシャン

〇 シンセレホ

▲ ダンコ

△ メキシコシティー


■ 出馬表


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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