• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

スペイン競馬にとって歴史的な週末。スペイン馬が2日連続でドイツ重賞を勝利


写真:GaloppOnline.de https://galopponline.de/news/galopp-news/spanische-tage-baden-baden-dank-rodaballo

 スペインは競馬後進国である。というのは、すでに間違った見方なのかもしれない。9月4日と5日にドイツのバーデンバーデン競馬場に遠征した2頭のスペイン馬がそれを証明した。


 4日、スペインのギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬であるキティーマリオン(Kitty Marion)が、GⅢカジノ・バーデンバーデン・ゴルデネ・パイチェ(芝1200m)にヴァーツラフ・ヤナーチェク騎手を背に出走した。スタートから良いリズムで先頭を走ると、直線ではいったん並ばれる場面もあったが、勝負根性を見せて逃げ切り勝ちをおさめた。スペイン調教馬がグループ/グレードのついたレースを勝利するのは、2019年11月にモロッコのカサブランカ競馬場で行なわれたGⅡラ・ソレクをオリエンタル(Oriental)が制して以来である。また、アリスコレータ調教師にとってはこれが初めての重賞制覇となった。


 キティーマリオンはイフラージを父に持つ5歳牝馬で、叔父にウートンバセットがいるという良血馬である。2020年5月まではゴドルフィンの所有馬としてフランスで走っていたが、8月からゴンサーロ・ウサンディサーガ氏(名義はファクトール・ソルプレサ)の所有となり、スペインのギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬となった。カテゴリーD競走を3勝したものの、目立った戦績はイタリアのリステッド競走で2着しかなかった。そのような格下馬がドイツのGⅢを勝利したことで、スペイン競馬のレベルの高さが証明された。


 5日、同じくスペインのギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬であるロダバーリョ(Rodaballo)が、スペイン競馬界の生ける伝説ホセ・ルイス・マルティネス騎手を鞍上にGⅡクロニムス・エッティンゲン・レネン(芝1600m)に出走した。道中は最後方追走ながら、最後の直線では外ラチ沿いを鋭く伸びて差し切り勝ちをおさめた。


 ロダバーリョは父ロペデベガ、母父シングスピールという血統の4歳牡馬。イギリス産まれだが、こちらはロベルト・ホワイト・ゲラ氏(名義はパタ・ネグラ・レーシング)の所有、ギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬として最初からスペインでデビューした。2020年にスペインの2000ギニーにあたるカテゴリーB競走センテナリオ・シメーラ(芝1600m)を優勝し、9月にはフランスのリステッド競走に出走して3着に入った。今年は6月19日に上半期のスペイン・マイル王決定戦であるカテゴリーA競走クラウディオ・カルデルを勝利した。


「キティーマリオンに続き、ロダバーリョもドイツの重賞を勝つことができた。我々の馬の歴史的なパフォーマンスに言葉は必要ない。映像がすべてを物語っている。遠征を実現させてくれたメリッサ、現地での調教に協力してくれたエフライン・アルギンソーネス氏、我々を信頼してくれた馬主のパタ・ネグラ・レーシングに深く感謝したい。また、遠くスペインから応援に来てくれた友人やファンにもこの勝利を捧げたい。我々に励ましを与えてくれ、我々にとって重要な、かつ、スペイン競馬が求めてた勝利を共に喜んでくれてありがとう」と、アリスコレータ厩舎の公式HPは述べた。


 ロダバーリョの今後には3つの選択肢がある。フランスに遠征し、登録のある10月2日のGⅡダニエル・ウィルデンシュタイン、もしくは3日のGⅠラ・フォレに出走する。地元スペインに戻って、10月10日にサルスエラ競馬場で行なわれる下半期のマイル王決定戦カテゴリーA競走イスパニダーに出走する。アリスコレータ調教師はレース後のインタビューで「次のことは分からない。これから考える」と述べたが、以前から海外遠征に積極的な姿勢を見せていることと距離適性を考慮して、GⅡダニエル・ウィルデンシュタインを選ぶのではないだろうか。


 ヨーロッパにはイオリッツ・メンディサーバル騎手、アメリカにはアントニオ・ガリャルド騎手というスペイン人の名騎手がいる。スペイン産馬ヌーソーカナリアス(Noozhoh Canarias)はヨーロッパのGⅠ戦線をにぎわせ、スペインでデビューしたサーアンドリュー(Sir Andrew)は後にヘレンパラゴンと改名して香港のトップホースとなった。今年のフランス・オークスで4着に入ったシビーラスペイン(Sibila Spain)はスペインのイェグアーダ・セントゥリオン所有であり、デビュー前はアルバロ・ソト調教師の管理馬としてマドリードのサルスエラ競馬場で調教を積んだ。そして、ドイツの重賞を2日続けての優勝である。スペイン競馬はパートⅢ国であり、グループ/グレード制ではなくカテゴリー制を採用している。しかし、この国の競馬を『海外競馬』という枠から外すべきではない。


■ GⅢカジノ・バーデンバーデン・ゴルデネ・パイチェ


■ GⅡクロニムス・エッティンゲン・レネン



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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