• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

スペイン語で「スタートしました」は国によって異なる

 スペインと南米はスペイン語圏として一括りにされますが、スペイン語というのは国によって文法や単語、発音、表現方法が異なります。その人が話すスペイン語を聞けば、どの国の出身なのかなんとなく分かるし、僕が南米の人にスペイン語を書いたり話したりするとカステリャーノ(※スペインのスペイン語)だとバレてしまいます。アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、シンガポール英語のような差と考えてもらうのが一番分かりやすいでしょう。


 代表的な例に、コヘール(Coger)という動詞があります。スペインでは物を「つかむ」などを意味して日常的に使いますが、中南米の国々では「××する」という卑猥な意味でしか使いません。したがって、スペインでスペイン語を学んだ人がメキシコやアルゼンチンを旅行して、「ねぇ、それ取って」と伝えたい時にコヘールを用いると、笑われるか、怪訝な顔をされます(経験あり、しかも女性を相手に......笑)。


 以前、武豊TVⅡでオイシン・マーフィー騎手が、日本の競馬場の実況を真似して「スタートしました」と言っているのを見ました。この「スタートしました」も、スペイン語圏では国によって競馬場実況者の使う動詞や単語が微妙に異なります。以下、国ごとの違いをまとめました。



【スペイン】 Se da la salida 読み方:セ・ダ・ラ・サリーダ 直訳:出発が与えられます


【ペルー】 Se da la partida 読み方:セ・ダ・ラ・パルティーダ 直訳:出発が与えられます


【チリ】 Partieron 読み方:パルティエロン 直訳:出発しました


【ベネズエラ】 Partida 読み方:パルティーダ 直訳:出発


【アルゼンチン】 Largaron 読み方:ラルガーロン 直訳:放たれました


【ウルグアイ】 Largaron 読み方:ラルガーロン 直訳:放たれました


【メキシコ】 Arranca 読み方:アランカ 直訳:始動します


【パナマ】 Arrancan 読み方:アランカン 直訳:始動します

もしくは、Se dio la salida 読み方:セ・ディオ・ラ・サリーダ 直訳:出発が与えられました


【プエルトリコ】 Abren las compuertas 読み方:アブレン・ラス・コンプエルタス 直訳:扉が開きます

もしくは、Dieron la salida 読み方:ディエロン・ラ・サリーダ 直訳:出発を与えました



 このように、国によって「スタートしました」の表現方法が異なります。しかし、前述の動詞コヘールの場合と違い、どの表現をどの国で使っても、たとえば、スペインのSe da la salidaをアルゼンチンで言っても、問題なく通じます。実況者の単語選択、好みの問題と言えるかもしれません。


 日本も地域によって「スタートしました」の表現を変えてみたら面白いかもしれません。たとえば、阪神競馬場では「スタートしました」ではなく、「いてまえ!」と言ってみたり......? 競馬開催地の方言コテコテで実況するデーを開催してほしいです。


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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