• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

ハットトリックの後継種牡馬ハットニンジャ


写真:Hs Angel de Venecia(@ElAngelVenecia

 ハットトリックの後継といえばダビルシムに注目が集まりますが、ハットトリックはアルゼンチンでも種牡馬として結果を残したので、南米には彼の後継となりうる馬が何頭かいます。そのうち1頭が、アルゼンチンのブエノスアイレスにあるチェナウト牧場で繋養されているハットニンジャです。



ハットニンジャ(Hat Ninja)


生年月日 : 2013年10月16日

生産牧場 : ラ・ビスナーガ牧場(アルゼンチン)

父 : ハットトリック

母 : ストーミーニンブル

母父 : バーンスタイン

通算成績 : 9戦4勝(GⅡ1勝、GⅢ2勝)

勝ち鞍 : 芝1400m~芝2400m

最高馬体重 : 499kg

平均馬体重 : 485kg


 GⅠ勝ちはないものの、2016年11月11日にサン・イシドロ競馬場で行なわれたGⅡプロビデンシア・デ・ブエノスアイレス(芝2400m)の勝利に大きな意味があります。このレースでハットニンジャは、後にGⅠカルロス・ペジェグリーニとGⅠラティーノアメリカーノを制して南米最強馬に君臨するシクスティーズソング(Sixties Song)を、半馬身差抑えて優勝しています。競走馬としての能力には光るものがありました。


■ GⅡプロビデンシア・デ・ブエノスアイレス



走る血統


 日本には、リディル、クラレント、レッドアリオンなどを輩出したエリモピクシーや、6世代連続新馬勝ちを達成したクロウキャニオンのように『走る血統』というものがあります。では、アルゼンチンはどうかというと、ハットニンジャの母ストーミーニンブル(Stormy Nimble)が『走る血統』の代表格です。


 ストーミーニンブル自身がGⅠを2勝。4番目の産駒ハットニンジャがGⅡ1勝、GⅢ2勝。5番目の産駒ジョイニデーラ(Joy Nidera)はGⅡを1勝。6番目の産駒ナスティア(Nastia)はGⅠセレクシオン(アルゼンチン・オークス)を制覇。7番目の産駒ニクソンジョイ(Nixon Joy)は現在アルゼンチン3歳世代の大将格であり、すでにGⅠ2着という実績を持っています。


■ ナスティアが勝ったGⅠセレクシオン


 2代母、3代母をさかのぼっても、GⅠ馬、重賞馬が多く見られます。興味のある方は、ぜひブラックタイプを見てみてください(※スペイン語)


 父は種牡馬として世界的に活躍したハットトリック、母はアルゼンチン随一の『走る血統』というハットニンジャは、種牡馬として成功できる可能性を秘めているのではないでしょうか。



日本との縁


 ハットニンジャはハットトリックの後継種牡馬であること、自身の名が『忍者』ということに留まらず、もう1つ、2つ日本との繋がりを持っています。


 まず、ハットニンジャの母母母はニポーナ(Nipona)という名前です。ニポーナとはスペイン語で「日本人女性」を意味します。ハットニンジャの半兄には、ニンテンドーインク(Nintendo Inc)、つまり、『任天堂株式会社』という、日本なら絶対につけられない名前の馬がいます。前述したアルゼンチン・オークス馬のナスティアは、2019年に繁殖牝馬として日本に輸入されました。加えて、ストーミーニンブルの2018の馬名は、ニッポンジョイ(Nipon Joy)と言います。ブラックタイプを見ても、母母母ニポーナの影響からか、近親には「日本」という言葉や意味を持つ馬が多いです。



期待と懸念


 南米におけるハットトリックの後継種牡馬は、現状3頭しかおらず、3頭とも種牡馬になりたてほやほやです。実のところ、南米でのハットトリックの血の継承は非常に危うくなっています。これから出走するハットトリック産駒に大物が出て――ディープインパクトがコントレイルを出したように――、絶対的な後継になってくれる可能性も充分に残っていますが、現時点では、ハットニンジャが南米におけるハットトリックの有力、かつ、ほぼ唯一の後継者です。


 懸念すべきは、繋養されているチェナウト牧場がそれほど有力な生産牧場ではないという点です。種牡馬として成功をおさめるには、実績のある生産牧場で供用され、多くの繁殖牝馬と、そして、優秀な繁殖牝馬と種付けすることが有利に働きます。


 ですが、初年度となる2019年は61頭と種付け(47位。1位はトレジャービーチの160頭)を行なっているので、今のところ頭数はまずまずといったところです。早くに活躍馬を輩出できれば、大手の牧場に移籍して、人気銘柄になるかもしれません。ハットトリックの血を残すという日本競馬の希望を託されたハットニンジャの産駒を強く応援しましょう。



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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