
木下 昂也(Koya Kinoshita)
ブラジル生産界、ダーレーからアウトストリップを購入
写真:Breeder's Cup
https://www.breederscup.com/history-tradition/hall-champions/outstrip-gb
今年2月、21ものウルグアイの生産牧場が連合を作り、2013年のケンタッキー・ダービー馬であるオーブ(Orb)を購入したというニュースが流れた。南半球の種付けシーズンまでまだ半年残っているが、アメリカの一流馬が種牡馬として南米の地を踏むということで、オーブには今から注目が集まっている。
熱狂はさらに過熱しそうだ。今度の主役はブラジル生産界である。
アルゼンチンの競馬メディア『エル・トゥルフ(El Turf)』の3月4日の報道によると、29ものブラジルの生産牧場が連合を組み、ダルハム・ホール・スタッドで繋養されている2013年のBCジュヴェナイル・ターフの勝ち馬アウトストリップ(Outstrip)を購入した。購入の中心となったのは、エテルナメンチ・ヒオ牧場、ヒオ・ドイス・イルマノス牧場、オールド・フレンズ牧場、フロンテイラPAP牧場、ファゼンダ・モンデシールというブラジル競馬界を代表する生産牧場であり、アウトストリップはファゼンダ・モンデシールで繋養される予定である。
アウトストリップは2011年にダーレーによって生産され、ゴドルフィンに所有された。父エクシードアンドエクセル、母父エルプラードという血統。2013年6月22日にニューマーケットでデビューすると、9月14日のGⅡシャンペンSを制した。11月にはアメリカに遠征し、BCジュヴェナイル・ターフを優勝した。3歳時の成績は振るわなかったが、セント・ジェームズ・パレスSに出走してキングマン、ナイトオブサンダーの3着に入った。
■ 2013年BCジュヴェナイル・ターフ
2015年2月にメイダン競馬場で行なわれたGⅡザビール・マイル8着を最後に現役を引退し、ニューマーケットのダルハム・ホール・スタッドで種牡馬入りした。GⅡグレフュールSを制して凱旋門賞でも4着になったゴールドトリップ(Gold Trip)、GⅢフロリダ・オークスを制したアウトバースト(Outburst)など、初年度から活躍馬を輩出している。
アウトストリップは2021年から供用される。現在ブラジルでリーディング上位を占めている種牡馬には、アグネスゴールド、プットイットバック、ワイルドイヴェント、パイオニアリング、T.H.アプルーヴァル、レダットーレと高齢馬が多い。大きな期待を抱いて導入したニューイヤーズデイは結局日本に買われ、ハットトリックは2020年8月に亡くなった。新しい血が求められている現状では、アウトストリップの活躍は約束されていると言っても過言ではない。
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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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