• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

メキシコ3冠競走の結果

 2021年のメキシコ3冠競走は、


【牝馬3冠】

・5月29日 GⅡルビー(ダ1500m)

・6月26日 GⅠエスメラルダ(ダ1600m)

・7月24日 GⅠディアマンテ(ダ1700m)


【牡馬3冠】

・5月29日 GⅡナシオナル(ダ1600m)

・6月26日 GⅠジョッキークルブ・メヒカーノ(ダ1700m)

・7月24日 GⅠデルビー・メヒカーノ(ダ1800m)


 という日程で行なわれた。開催はいずれもラス・アメリカス競馬場である。牡馬・牝馬共に1冠目はメキシコ産馬しか出走することができない。ちなみに、牝馬3冠のレース名はいずれもスペイン語で宝石の名前を意味する(ルビー=ルビー、エスメラルダ=エメラルド、ディアマンテ=ダイヤモンド)。



牝馬3冠


 1冠目のGⅡルビーから波乱が起こった。前哨戦を快勝したアスタプロント(Hasta Pronto)、GⅠ馬ハロッズ(Harrods)の2頭に人気が集中したが、勝利したのは6頭立ての5番人気⑤ラネグリータクラウン(La Negrita Crown)だった。ホセ・カンポス騎手に導かれたドローヴァー産駒の牝馬は、道中は4番手を追走すると直線も力強く伸び、2着レッドレディーアスキファール(Red Lady Asquifar)に7 3/4馬身差をつける完勝をおさめた。2月のGⅡでは8馬身差圧勝も、前哨戦は勝ち馬から12馬身離された7着に敗れており、ここでは人気を落としていた。


■ GⅡルビー。1,2番人気が着外に沈んだ。



 波乱で幕を開けた牝馬3冠だが、外国産馬が加わっての戦いとなった2冠目のGⅠエスメラルダでも波乱が起こった。レース前にラネグリータクラウンが出走を取り消したのである。レースは、単勝1.30倍の圧倒的1番人気に推されたカナダ産馬の①ディレク(Dilek)が、フランシスコ・ゲレーロ騎手を背にスタート直後から軽快に飛ばすと、後続に影を踏ませない圧巻の逃走劇を披露した。2着のバイバイルシーア(Bye Bye Lucía)につけた差はなんと16馬身。2歳時にGⅡ競走を2勝した実力は本物だった。この時点で8戦6勝、2着1回、3着1回と、非の打ちどころのない成績をおさめた。


■ GⅠエスメラルダ。1冠目の勝者が出走取消。



 これだけの圧勝を見せつけられれば、ディレクの2冠制覇は確実と思われた。1冠目の覇者ラネグリータクラウンがどこまでディレクに抵抗できるかが注目だった。しかし、3冠目のGⅠディアマンテでシリーズ最大の波乱が起こる。単勝1.25倍の支持を集めたディレクが、なんと5秒以上もゲートを出なかったのである。かろうじて発走にこぎつけたが、いくら実力差があるとはいえ、5秒のハンデを覆すのは土台不可能だった。レースは、最大のライバルが自滅してくれたオスカル・コントレーラス騎乗の2番人気②バイバイルシーアが、2着のホシ(Hoshi)に3馬身差をつける逃げ切り勝ちをおさめた。1冠目の勝者ラネグリータクラウンも、2冠目を取り消した影響があったのか、勝ち馬から42馬身も離された5着に敗れた。2021年のメキシコ牝馬3冠は、3頭が1冠ずつを分け合った。


■ GⅠディアマンテ。ディレクが発馬できず。



牡馬3冠


 牡馬3冠の開幕戦GⅡナシオナルは4頭立てと寂しい開催となった。2月のGⅠロベルト・A・ルイスを制したハッカサン(Hakkasan)が単勝1.30倍の圧倒的1番人気に推された。しかし、単勝2.70倍の2番人気に支持されたノーブルガイ(Noble Guy)とは、そのGⅠでわずかアタマ差の決着だったため、人気差ほどの実力差があるとは思えなかった。そのとおり、ミゲル・ロドリゲス騎乗の③ノーブルガイが向こう正面でハナを奪うと、直線では後ろを見る余裕で9 1/2馬身差の圧勝をおさめた。2着はシモウ(Simow)。ハッカサンは3着だった。


■ GⅡナシオナル



 2冠目のGⅠジョッキークルブ・メヒカーノからは、主役はアメリカ産馬の2頭に移った。ジャックミルトン産駒のミベシーノ(Mi Vecino)と、レースデイ産駒のヘッドマスター(Headmaster)である。2頭はスタート直後から競り合うようにハナ争いをすると、直線でも馬体をぶつけての叩き合いが繰り広げられた。頭の上げ下げの結果、ハビエル・マティアス騎乗の②ミベシーノがハナ差でレースを制した。2頭から4 1/2馬身離された3着には、1冠目の覇者ノーブルガイが入った。


■ GⅠジョッキークルブ・メヒカーノ



 2頭の激闘は最終戦のGⅠデルビー・メヒカーノでも行なわれた。タレントーソモーツァルト(Talentoso Mozart)を真ん中に挟んで3頭で先頭集団を構成すると、最終コーナーを回ったところでまたもやミベシーノとヘッドマスターの一騎打ちとなった。激しい追い比べはゴール直前まで続き、今回はホセ・オルテガ騎乗の①ヘッドマスターがミベシーノをアタマ差競り落として優勝した。牡馬3冠競走も、3頭が1冠ずつを分け合う結果となった。


■ GⅠデルビー・メヒカーノ


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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