• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

南米王者テターセが復権。ブルーストライプはBCディスタフで姉妹制覇へ。


テターセ(Tetaze) 写真:El Turf https://elturf.com/ejemplares-fotos?id_ejemplar=345229&tipo_vista=

 5月1日、アルゼンチンのパレルモ競馬場で6つのGⅠ競走が行なわれた。


 メインレースとして注目を集めたのが、GⅠレプブリカ・アルヘンティーナ(ダート2000m - 3歳以上)である。昨年、競馬の南米選手権であるGⅠラティーノアメリカーノを制して南米王者に輝いたテターセ(Tetaze)と、7連勝で1000m直線のGⅠから2000mのGⅠまで制した現アルゼンチン最強馬のストラテゴス(Strategos)が激突した。勝利したのは、ウィリアム・ペレイラ騎乗の1番人気テターセ。2番枠から好スタートを決めると、前で折り合いに苦労するストラテゴスを見ながら4番手に控えた。最終コーナーですでにストラテゴスを射程に捉えると、直線半ばで先頭に立ち、そのまま押し切った。ラティーノアメリカーノからGⅠではあと一歩というレースが多かった南米王者が大一番で強さを見せた。勝ちタイム1分58秒24は、アルゼンチンのダート2000mで3番目となる好記録である(※レコードは1分57秒85)。


 テターセは2016年10月22日に産まれた4歳牡馬。父イークワルストライプス、母デリラーダ、その父オーペンという血統。2019年にアルゼンチンのダービーにあたるGⅠナシオナルで2着になると、翌年3月14日のGⅠラティーノアメリカーノを優勝した。通算成績は11戦5勝。重賞は4勝で、GⅠは2勝している。


「レースを勝つ自信があった。と同時に、難しいレースになるのは分かっていた。ストラテゴスは非常に素晴らしい馬だから。レースの終盤で2頭が追い上げてきたときも不安だった。厳しいレースになったが、運が良く勝つことができた。わたしはテターセのために多くの時間を割き、彼がそれに応えてくれて嬉しい」と、管理するロベルト・ペジェガッタ調教師は述べた。


 本来であれば、レプブリカ・アルヘンティーナの勝ち馬は6月末にパレルモ競馬場で行なわれるアルゼンチン競馬の祭典エストレージャス競走へ向かう。しかし、Turf Diario によると、テターセは事前登録をしていないため、同開催を回避するものと見られている。次走に関する正式発表はまだない。


 一方、2強を構成したストラテゴスは、残り200mで脚が止まり、テターセから8馬身離された4着に敗れた。2つの不運が敗因となった。1つ目は、主戦を務めていたフランシスコ・ゴンサルヴェス騎手が落馬負傷により、オルテガ・パボン騎手がテン乗りとなったこと。2つ目が、エモーションオーペン(Emotion Orpen)のラビットとして参戦したワンサムライ(One Samurái)にペースを乱されたことである。道中は引っかかり、オルテガ・パボン騎手は制御するためにストラテゴスを馬群から離さなければならなかった。しかし、これだけ酷いレースだったにもかかわらず4着に残ったのは、改めて地力の高さを証明したとも言える。この馬も次走は未定で、エストレージャス競走には登録していない。短距離路線に戻るのか、再び中距離路線でリベンジを狙うのかも含めて、次走が楽しみである。


 2着には、後方から追い込んだ昨年のGⅠダルド・ロチャの勝ち馬エモーションオーペンが入った。3着も最後方追走か最内を突いたGⅠ馬オーストラリスチーキー(Australis Cheeky)となった。



 牝馬限定のGⅠ競走として行なわれたのが、GⅠクリアドーレス(ダート2000m)である。勝ち馬には11月にデルマー競馬場で行なわれるBCディスタフの優先出走権が与えられる。


 シエンプレエンミメンテ、イデオクラティカ、マミービーチ、ピンクダイヤモンドの4頭が直前に取り消して11頭立てとなったレースは、3,4番手を追走したオルテガ・パボン騎乗の1番人気ブルーストライプ(Blue Stripe)が直線で抜け出し、猛然と追い込んできた8番人気、単勝84.9倍の人気薄ソヴィエトキャッチ(Soviet Catch)をアタマ差しりぞけて優勝した。勝ちタイムは1分59秒01。こちらも、ダート2000mで13番目に早い記録という好タイムだった。3着にマハゴニーが入った。


 ブルーストライプは2017年10月27日産まれの3歳牝馬。父イークワルストライプス、母ブルースフォーセール、その父ノットフォーセールという血統は、2019年のBCディスタフを制したブループライズ(Blue Prize)の半妹にあたる。2020年10月19日にデビューし、ここまで6戦4勝、3着2回。ダートではいまだに無敗を保っている。今年はリステッド、GⅡ、GⅠと3戦して3勝である。


 レース後の会見でブルーストライプの馬主ポソ・デ・ルナの代表は、「ブリーダーズカップに出走するのは夢である。昨年12月のGⅠコパ・デ・プラタのときから、管理するニコラス・マルティン・フェッロ調教師と相談し、クリアドーレスに万全の状態で出走させたいと考えていた。優先出走権を得た今、招待を受諾し、アメリカ遠征をするというのが我々の計画である」と述べた。半姉ブループライズとの姉妹制覇が現実味を帯びてきた。




 2歳牝馬GⅠホルヘ・デ・アトゥーチャ(ダ1500m)は、フアン・ノリエガ騎乗の1番人気カルタエンブルハーダ(Carta Embrujada)が、折り合いに苦労しながらも最後方から追い込んで4馬身差の快勝をおさめた。勝ちタイムは1分27秒24。2018年産馬で最初のGⅠ馬となった。

https://youtu.be/wOKwm1k8Vh0



 2歳GⅠモンテビデオ(ダ1500m)は、ロドリゴ・ブランコ騎乗の6番人気フィエルアミーゴ(Fiel Amigo)が、3番手から抜け出して5馬身差の快勝をおさめた。勝ちタイムは1分26秒95。なお、アルタイル・ドミンゴス騎乗のゴテオキー(Goteo Key)は直線で故障を発生して競走中止となった。落馬したドミンゴス騎手は頭を強く打ち、病院に搬送された。詳しい診断結果を待っている。

https://youtu.be/O7uStnaZ5Ok



 マイルGⅠデ・ラス・アメリカス(ダ1600m - 3歳以上)は、4番手を進んだゴンサロ・ハーン騎乗の3番人気ストームディナミコ(Storm Dynámico)が、GⅠ2勝のパワーアップ(Power Up)に3馬身差をつけて、見事にGⅠ初制覇を飾った。勝ちタイムは1分32秒32。また、ハーン騎手も2012年にインディーポイントで制したGⅠナシオナル以来、9年ぶりのGⅠ勝利となった。

https://youtu.be/g-ICRUQTQgY



 GⅠデーのトリとなった1000m直線GⅠシウダー・デ・ブエノスアイレス(ダ1000m - 3歳以上)は、ロドリゴ・ブランコ騎乗の3歳牡馬フォンドトロピカル(Fondo Tropical)が、好スタートから外ラチを頼ってそのまま押し切った。勝ちタイムは53秒59。通算成績を8戦4勝とし、重賞初制覇をGⅠで飾った。ブランコ騎手はこの日GⅠ2勝と大活躍だった。牝馬クイーンリズ(Queen Liz)はまたしても2着に敗れた。

https://youtu.be/6TLUZg1qc0Q


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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