• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

南米競馬の勢力図(ウルグアイ編)

牡馬


 現在もっとも強いウルグアイ産馬は誰かと訊かれたら、アフステフィスカル(Ajuste Fiscal)を挙げる。2019年にウルグアイ2冠を達成し、翌年1月にはウルグアイ版ジャパンCにあたるGⅠホセ・ペドロ・ラミーレス(ダ2400m)をレース・レコードで優勝した。今年は1月からドバイ遠征を行ない、結果こそ伴わなかったが、最大目標としていたドバイWCに出走した。ウルグアイ産馬がドバイWCに出走したのは史上初である。


 アフステフィスカルはウルグアイ産馬であり、ウルグアイを拠点とするブラジル人のアントニオ・シントラ調教師の管理馬である。しかし、ドバイWC後はイギリスのニューマーケットに滞在し、次回のドバイ開催を目標に調整されている。したがって、「ウルグアイの馬」とは言い難い。


 同様に、今年のUAEダービーに出走した2020年のウルグアイ・ダービー馬エルパトリオータ(El Patriota)もウルグアイの馬として含められない。この馬もアフステフィスカルと共に現在ニューマーケットにいる。


 2頭と入れ替わるようにして現れたのが、アルコラーノ産駒のアトレティコエルクラーノ(Atlético El Culano)である。3歳時は重賞勝ちなしの2勝馬にすぎなかったが、4歳になって急成長。今年のGⅠホセ・ペドロ・ラミーレスを4馬身差で快勝し、ウルグアイ王者に君臨した。3月のGⅡでは6馬身差、前走ウルグアイのBCにあたるカンペオーネス・クラシックでも2着に6 1/4馬身をつけて圧勝し、国内敵なしの1強状態である。


 アトレティコエルクラーノは、10月24日に地元ウルグアイのマローニャス競馬場で行なわれる競馬の南米選手権GⅠラティーノアメリカーノ(ダ2000m)への出走を目標にしている。アルゼンチンのストラテゴス(Strategos)、ヴィレッジキング(Village King)、チリのウィンヒアー(Win Here)、ペルーのニュルンベルク(Nuremberg)、ノビジェーロ(Novillero)と各国のトップホースが出走を予定しており、今年の出走馬は近年稀に見る豪華さになりそうだ。ウルグアイ調教馬は2007年にグッドリポート(Good Report)が優勝しているが、ウルグアイ産馬はこれまで優勝がない。偉業を成し遂げるなら、アトレティコエルクラーノしかいない。


■ GⅠホセ・ペドロ・ラミーレス



牝馬


 ウルグアイには明確な牝馬3冠競走がない。しかし、3歳牝馬はGⅠポージャ・デ・ポトランカス(ダ1600m)、GⅠセレクシオン(ダ2000m)、GⅡエスティムロ(ダ2000m)という3競走への出走を目指すため、この3つを実質の牝馬3冠とみなしていいだろう。2020年、クアトロマーレス産駒のインスタマンチャ(Instamancha)が3競走を優勝し、ウルグアイ女王が決まった……かと思われた。ところが、ウルグアイ版エリザベス女王杯にあたる1月のGⅠシウダー・デ・モンテビデオ(ダ2000m)で、アグネスゴールド産駒のオンラレアル(Honra Real)に敗北を喫した。


 たった1回の結果が両者の明暗を分けた。インスタマンチャは今年に入って勝ち星をあげられず、6月6日のレース中に怪我をして現役を引退することになった。一方、オンラレアルはGⅠ勝利から波に乗って4連勝と絶好調。芝2100mで行なわれたGⅢミニステリオ・デ・エコノミーア・イ・フィナンサスも快勝し、アトレティコエルクラーノと同じく1強体制を築いた。


 オンラレアルには、3月にUAEダービーへ出走するプランがあった。だが、国際GⅠの勝ち馬であるにもかかわらずなぜか選出されず、国内に専念することになった。この馬の次走は未定だが、おそらくラティーノアメリカーノ出走が濃厚だろう。アトレティコエルクラーノはウルグアイ産馬だが、こちらはブラジル産馬である。


■ GⅠシウダー・デ・モンテビデオ



その他


 本来なら有力2歳馬を紹介したいところだが、ウルグアイは2歳戦の番組が薄く、どの馬が抜けた存在なのか現状ではよく分からないのが本音である。個人的には、リステッド競走を勝ったハットトリック産駒の牝馬ダマヂフェッホ(Dama De Ferro)に注目しているが、6月27日に行なわれる2歳GⅡ競走を待ちたい。


 そこで、ウルグアイ編に関しては別の注目馬を取り上げることにした。それが、パイオニアリング産駒の6歳牝馬ハイーニャピオネイラ(Rainha Pioneira)である。


 ブラジル産馬のハイーニャピオネイラは、短距離を中心に出走している。2020年7月4日のGⅢから現在まで9連勝中。通算成績は30戦17勝、うち重賞は6勝をあげている。アトレティコエルクラーノ、オンラレアルと共に、ウルグアイ競馬で注目すべき短距離女王である。


■ GⅡマローニャス


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

G-mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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