• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

2020年アルゼンチン種牡馬成績

写真:El Turf

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 アルゼンチン・スタッドブックが2020年の種牡馬成績を発表した。ここでは、リーディング上位の種牡馬の成績とデータを紹介する。昨年は新型コロナウイルスによってレース数が激減したため、他の年と一概に比較できるわけではない。



■ イークワルストライプス(Equal Stripes)


 獲得賞金においてリーディングを獲得したのが、イークワルストライプスである。イークワルストライプスは1999年10月20日にアルゼンチンのアボレンゴ牧場で産まれた。父キャンディーストライプス、母エクイティー、母父イークワライズという血統。現役時代はGⅡ2勝を含む7戦4勝という成績をあげ、2002年のGⅠエストレージャス・ジュヴェナイルでは2着に入っている。現在はアボレンゴ牧場で供用されている。


 2020年は386戦69勝(17.9%)、GⅠ5勝という成績を残した。競馬の南米選手権GⅠラティーノアメリカーノを制したテターセ(Tetaze)、ダービーにあたるGⅠナシオナルを制したグレートエスケープ(Great Escape)、アルゼンチン2冠目のGⅠジョッキークルブを制したマリニャック(Marignac)、GⅠエストレージャス・ディスタフを制したチタディリオ(Cita Di Río)、GⅠエストレージャス・ジュヴェナイル・フィリーズを制したインファルターメ(Infartame)といったGⅠ馬に加え、GⅡラモン・ビアウスを勝ったミスエデル(Miss Éder)、ブループライズの半弟でGⅠで3着2回のブルーストライプ(Blue Strape)といった産駒が活躍した。勝利数でも2位につけ、2018年以来となる最優秀種牡馬の獲得は確実である。


【内訳】 牡馬:259戦42勝(16.2%) 牝馬:127戦27勝(21.3%)


パレルモ競馬場:211戦47勝(22.2%) サン・イシドロ競馬場:96戦13勝(13.5%) ラ・プラタ競馬場:67戦9勝(13.4%) その他の競馬場:12戦0勝(0.0%)


芝:57戦10勝(17.5%) ダート:329戦59勝(17.9%)


1600m以下:310戦49勝(15.8%) 1601m以上:76戦20勝(26.3%)


 イークワルストライプス産駒はこれまで657頭が出走し、480頭が勝利をあげている。勝ち上がり率は73.1%である。通算成績は6796戦1150勝(16.9%)、うちGⅠを27勝している。2017年は131頭に種付けして99頭が誕生、2018年は104頭に種付けして55頭が誕生、2019年は109頭に種付けして61頭が誕生している。しかし、高齢のためか、2012年から75%以上を維持してきた受胎率が、ここ2年で50%台まで低下している。日本に輸入されたイークワルストライプス産駒の繁殖牝馬として、ポジティヴマインド(Positive Mind)、シャイスター(Shyster)、スクールミストレス(Schoolmistress)、ケアレディー(Care Lady)、チタディリオ(Cita Di Río)が挙げられる。


■ ローマンルーラー(Roman Ruler)


 勝利数でリーディングを獲得したのがローマンルーラー(Roman Ruler)である。ローマンルーラーは2002年3月20日にアメリカで産まれた。父フサイチペガサス、母シルヴァリースワン、母父シルヴァーデピュティーという血統。2008年からアルゼンチンのバカシオン牧場で供用されたが、残念ながら2017年1月25日に亡くなった。2017年に産まれた111頭が最終産駒となる。


 2020年は579戦89勝(15.4%)と、2位のイークワルストライプスとは20勝もの差をつけて最多勝を獲得したが、GⅠは未勝利、重賞馬もGⅡフェルナンデス・ゲリーコを勝ったティトルーラー(Tito Ruler)のみと、大舞台で活躍できなかったことが、獲得賞金で2000万ペソも差が開いた要因だった。


【内訳】 牡馬:333戦54勝(16.2%) 牝馬:246戦35勝(14.2%)


パレルモ競馬場:286戦36勝(12.6%) サン・イシドロ競馬場:165戦26勝(15.8%) ラ・プラタ競馬場:116戦23勝(19.8%) その他の競馬場:12戦4勝(33.3%)


芝:104戦13勝(12.5%) ダート:475戦76勝(16.0%)


1600m以下:541戦82勝(15.2%) 1601m以上:38戦7勝(18.4%)


 ローマンルーラー産駒はこれまで590頭が出走し、427頭が勝利をあげ、勝ち上がり率は72.4%である。通算成績は6676戦1073勝(16.1%)、GⅠは計20勝している。日本に輸入された牝馬では、カルディーン(Caldine)、ティロレスカ(Tirolesca)などがいる。ローマンルーラーはアルゼンチンではお馴染みの種牡馬で、2018年、2019年と勝ち星・獲得賞金で共にリーディングを獲得しているが、GⅠ勝利が少ないため、これまで最優秀種牡馬を獲得したことは1度もない。残された産駒でなんとか勲章をもたらしてほしいところである。


■ オーペン(Orpen)


 獲得賞金額でBMSリーディングを獲得したのがオーペンである。オーペンは1996年5月20日にアメリカで産まれた。父ルアー、母ボニータフランシータ、母父デヴィルズバッグという血統。2004年にアルゼンチンのラ・エスペランサ牧場で種牡馬入りし、2005年から現在までアルゼンチンのカランパンゲ牧場で供用されている。


 2020年は母父として541戦57勝(10.5%)という成績を残した。勝ち星で見ると6位だが、テターセ、マリニャック、アルゼンチンの1000ギニーにあたるGⅠポージャ・デ・ポトランカスを制したスコティッシュスター(Scotish Star)というGⅠ馬に加え、GⅡシビーラを勝ったフラメア(Framea)、GⅠパレルモで2着のドンエンペーニョ(Don Empeño)の活躍が大きかった。ちなみに、GⅠラティーノアメリカーノの賞金が高く、テターセの父であるイークワルストライプスと、母父であるオーペンが最多賞金を獲得したのはそのためである。


 オーペンの活躍は父としても目立った。GⅠを勝利したエモーションオーペン(Emotion Orpen)とピンボールウィザード(Pinball Wizard)など、オーペン産駒は350戦54勝(15.4%)、GⅠ3勝という活躍を見せ、種牡馬としても獲得賞金額で3位に入った。


【内訳(父)】 牡馬:201戦31勝(15.4%) 牝馬:149戦23勝(15.4%)


パレルモ競馬場:154戦22勝(14.3%) サン・イシドロ競馬場:139戦21勝(15.1%) ラ・プラタ競馬場:53戦11勝(20.8%) その他の競馬場:4戦0勝(0.0%)


芝:117戦14勝(12.0%) ダート:233戦40勝(17.2%)


1600m以下:322戦46勝(14.3%) 1601m以上:28戦8勝(12.5%)


 オーペン産駒はこれまで803頭が出走し、565頭が勝利をあげている。勝ち上がり率は70.4%である。通算成績は7797戦1344勝(17.2%)、GⅠは25勝である。また、オーペンを母父に持つ競走馬はこれまで433頭が出走し、229頭が勝利している(52.9%)。通算成績は3864戦501勝で、その中には8つのGⅠタイトルも含まれる。現在25歳だが、2017年は111頭に種付けして90頭が誕生、2018年は89頭に種付けして56頭が誕生、2019年は99頭に種付けして53頭が誕生と、2010年に最優秀種牡馬を獲得した古豪はまだまだアルゼンチン競馬に大きな影響を与えている。日本に輸入されたオーペン産駒の牝馬は、アトミカオロ(Atómica Oro)、クイーンズアドヴァイス(Queen's Advice)、フィールザレース(Feel The Race)、プラジャデシエルタ(Playa Desierta)、ベラルーサ(Belarusa)、マルペンサ(Malpensa)、マサイマラ(Maasai Mara)が挙げられる。


■ サザンヘイロー(Southern Halo)


 勝利数でBMSリーディングを獲得したのがサザンヘイローである。サザンヘイローは1983年2月9日にアメリカで産まれた。父ヘイロー、母ノーザンシー、母父ノーザンダンサーという血統。1988年にアルゼンチンのラ・ケブラーダ牧場で種牡馬入りし、2008年まで同牧場で種牡馬として供用され、2009年11月20日に死亡した。アルゼンチンでは1994年、1996年、1998年、1999年、2003年、2007年と最優秀種牡馬を受賞し、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年と最優秀ブルードメアサイアーに選出された。種牡馬としては、1001頭が出走して813頭が勝利(81.2%)、通算成績は13518戦2371勝(17.5%)、うちGⅠは92勝という驚異的な数字を残した。


 2020年は母父として988戦115勝(11.6%)と、オーペンに50勝以上もの差をつけた。しかし、ローマンルーラーと同様、GⅠ含め重賞0勝と大舞台で結果を残せなかったため、オーペンとの獲得賞金額は1000万ペソ近く水を開けられた。


【内訳(母父)】 牡馬:516戦48勝(9.3%) 牝馬:472戦67勝(14.2%)


パレルモ競馬場:391戦47勝(12.0%) サン・イシドロ競馬場:299戦31勝(10.4%) ラ・プラタ競馬場:263戦33勝(12.5%) その他の競馬場:35戦4勝(11.4%)


芝:149戦8勝(5.4%) ダート:839戦107勝(12.8%)


■ フォーティファイ(Fortify)


 2019年は60勝(GⅠ6勝)という成績で最優秀種牡馬に輝いたフォーティファイだが、2020年は337戦46勝(13.6%)、獲得賞金額で4位、勝利数で8位と苦戦を強いられた。GⅠもセテアードジョイ(Seteado Joy)のエストレージャス・ジュヴェナイルのみである。2019年の活躍馬がこぞって売却・移籍になった影響が大きかったか。


【内訳】 牡馬:211戦29勝(13.7%) 牝馬:126戦17勝(13.5%)


パレルモ競馬場:163戦25勝(15.3%) サン・イシドロ競馬場:117戦13勝(11.1%) ラ・プラタ競馬場:55戦6勝(10.9%) その他の競馬場:2戦2勝(100%)


芝:105戦10勝(9.5%) ダート:232戦36勝(15.5%)


1600m以下:289戦37勝(12.8%) 1601m以上:48戦9勝(18.8%)


 フォーティファイは2014年にラ・ビスナーガ牧場で種牡馬入りしたが、同牧場の解散に伴い、2018年からバカシオン牧場で供用されている。2017年は96頭に種付けして63頭が誕生、2018年は124頭に種付けして99頭が誕生、2019年は124頭に種付けして88頭が誕生している。これまで149頭が出走し、74頭が勝利をあげている。勝ち上がり率は49.7%である。通算成績は993戦140勝(14.1%)、GⅠは8勝している。日本に繁殖牝馬として導入された産駒は、ジョイカネーラ(Joy Canela)、ジョイニキータ(Joy Nikita)、ジョイニデーラ(Joy Nidera)、ナスティア(Nastia)などがいる。


■ ジョンFケネディ(John F Kennedy)


 ジョンFケネディは2012年2月7日にアイルランドで産まれた。父ガリレオ、母ランプルスティルトスキン、母父デインヒルという血統。2016年からアルゼンチンのアボレンゴ牧場で供用されると、132頭に種付けして81頭が誕生した。この2017年産81頭がアルゼンチンでの初年度産駒となる。


 2020年は25頭が出走し6頭が勝ち上がり(24.0%)、通算成績は55戦8勝(14.5%)である。獲得賞金額で19位、勝ち星で77位と下位に沈んでいるのは1世代しかいないので仕方がない。しかし、計8勝のうち1勝がクールデイ(Cool Day)が優勝した南米最大のGⅠ競走カルロス・ペジェグリーニというのは驚きである。日本でたとえるなら、初年度からジャパンC勝ち馬を輩出したようなものである。


 2017年は121頭に種付けして73頭が誕生、2018年は91頭に種付けして68頭が誕生、2019年は62頭に種付けして33頭が誕生したが、クールデイの大金星により需要が高まることは間違いない。アルゼンチン競馬界でこれから期待の種牡馬である。