• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

2021年エストレージャス競走を展望

 6月26日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でアルゼンチン競馬の祭典『エストレージャス競走』が行なわれる。クラシック、ディスタフ、マイル、スプリント、ジュヴェナイル、ジュヴェナイル・フィリーズという6つのGⅠ競走と、エストレージャス・ジュニオール・スプリントというGⅢ競走が行なわれるため、アルゼンチン版のブリーダーズカップとみなすことができる。


 だが、今年はやや寂しい祭典となりそうだ。外国への売却・移籍が相次いだことに加えて、テターセ、ピンボールウィザード、ヴィレッジキング、ストラテゴスといった牡馬、ファンシフル、アワーリトルガールなど牝馬の実力馬が出走しない。レベルとしては史上最低と言っても過言ではないだろう。一方、2歳戦は充実したメンバーがそろった。以下、各GⅠ競走の簡単な展望を行なう。



クラシック


 エストレージャス競走のメインレースである。登録段階では、昨年のGⅠカルロス・ペジェグリーニ勝ち馬クールデイ(Cool Day)が出走を予定していたが、体調が整わずに直前で回避した。メンバーレベルは低く、頭数も8頭と物足りない。


 1番人気になりそうなのが、オーペン産駒のGⅠ2勝馬エモーションオーペン(Emotion Orpen)である。今年は3戦して2着、3着、2着と勝ちきれていないが、テターセ、ストラテゴスと先着を許した強敵が出走しない今回は大チャンスである。エストレージャス・クラシックは2019年2着、20年3着と惜しくも届いておらず、今年こそ待望の勝利を得たい。


 エモーションオーペンにとって最大の壁になりそうなのが、4歳馬ロヒットジョイ(Rohit Joy)である。昨年9月にデビューした遅咲きの馬だが、デビューから4連勝でGⅠカルロス・ペジェグリーニに出走した。同GⅠでは初芝・初コースということで6着に敗れたが、まだキャリア5戦しかしていない伸びしろと、ダート替わりは魅力充分である。これが今年初出走なのが不安材料か。


 繰り上がりでGⅠを優勝したアジアティックティル(Asiatic Till)、今年GⅠを2戦して2着、5着と掲示板を外していないエンドモンド(Endomondo)が2頭に続く。だが、逆転までは難しいだろう。


【筆者予想】

◎ ロヒットジョイ

○ エモーションオーペン

▲ エンドモンド



ディスタフ


 移籍・売却が相次ぎ、現在アルゼンチンにいる牝馬は、悪く言えば残り物である。出走馬11頭の中には、GⅠ馬セレナータウアステカ(Serenata Huasteca)や、重賞5勝のバンハーラン(Bamb Harlan)がいる。しかし、前者は未勝利馬での格上挑戦がたまたま当たり、後者は一度引退して繁殖に上がるプランを撤回しての現役続行と、信頼を置ける存在ではない。


 有力馬は3頭。GⅡパセアナを勝利し、前走GⅠクリアドーレスでも有力視されていたが直前で回避となったシエンプレエンミメンテ(Siempre En Mi Mente)、そのクリアドーレスで勝ち馬ブルーストライプを追い詰めた2着のソヴィエトキャッチ(Soviet Catch)と、3着のマハゴニー(Mahagonny)である。


【筆者予想】

◎ マハゴニー

○ ソヴィエトキャッチ

▲ シエンプレエンミメンテ



マイル&スプリント


 マイルでは、昨年の覇者パワーアップ(Power Up)に注目が集まる。今年も同じ舞台のGⅡを勝っており、状態は申し分ないだろう。前走のGⅠデ・ラス・アメリカスではストームディナミコ(Storm Dynámico)に敗れたが、そのストームディナミコは出走せず、他に目立ったライバルも見当たらない。同GⅠで3着に入ったエストレント(Es Torrento)が逆転を狙う。



 エストレージャス・スプリントは14頭立てで、それなりのメンバーがそろった。5月1日に同じ条件で行なわれたGⅠシウダー・デ・ブエノスアイレスの1着馬フォンドトロピカル(Fondo Tropical)、2着のクイーンリズ(Queen Liz)、3着のサンソングリーリー(Sanson Greely)が人気を集めるだろう。枠順が結果を左右しそうである。別路線組では、4連勝でGⅢを優勝した3歳馬ストロングキー(Strong Key)に注目したい。



ジュヴェナイル・フィリーズ


 2歳牝馬の祭典は9頭立てだが、ここは3強対決になりそうである。2戦2勝でGⅠホルヘ・デ・アトゥーチャを優勝したカルタエンブルハーダ(Carta Embrujada)、同じく2戦2勝でGⅠデ・ポトランカスを勝利したトロペアドーラ(Tropeadora)、4戦4勝でGⅢを2勝、4戦でつけた着差は計23馬身と圧倒的な強さを見せているアグアマキシマ(Agua Máxima)の3頭である。


 パレルモ競馬場のダートGⅠを優勝しているということで、カルタエンブルハーダがやや優勢に思えるが、トロペアドーラは追加登録料60万ペソを支払っての参戦と、陣営のやる気がうかがえる。アグアマキシマは4戦無敗とはいえ、4戦ともレベルの落ちるラ・プラタ競馬場での勝利ということで評価に悩む。


【筆者予想】

◎ トロペアドーラ

○ カルタエンブルハーダ

▲ ソパデリマ



ジュヴェナイル


 14頭立てと、スプリントと並んで今年のエストレージャス競走で最多の出走頭数になった。頭数が多いこともあり、至極難解なレースである。


 GⅠモンテビデオの勝ち馬フィエルアミーゴ(Fiel Amigo)が中心なのは間違いない。しかし、10頭立ての6番人気での勝利であり、5戦2勝と成績が安定していないことから、絶対的な本命馬とは言えない。馬券の信頼度という意味では、同GⅠで2着だったアモイセニョール(Amo Y Señor)のほうが高い。4戦2勝、GⅢを1勝、2着1回、3着1回と、馬券圏内を外していない。


 別路線からは、芝のGⅡを勝利したイルウィン(Irwin)、前走を4馬身差で快勝したエンプレスタード(Emprestado)、前走を5馬身差で快勝したダヴィニョン(D’Avignon)を候補として挙げたい。実績のある馬はいるが、実力の抜けた馬はいないため、これら1勝馬の浮上も充分に考えられる。


【筆者予想】

◎ ダヴィニョン

○ エンプレスタード

▲ イルウィン


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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24