• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

隻眼の名馬エモーションオーペンが怪我により電撃引退


レース直後に下馬するロドリゴ・ブランコ騎手
写真:Ezequiel Valle(@ValleEzequiel) https://twitter.com/ValleEzequiel/status/1442281161439338496

 9月26日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でGⅢイタリア(ダ2000m - 4歳以上)が行なわれた。このレースは、10月24日にウルグアイのマローニャス競馬場で開催される南米選手権GⅠラティーノアメリカーノ(ダ2000m - 3歳以上)にアルゼンチン代表として出走するエモーションオーペン(Emotion Orpen)とサンディーノルーラー(Sandino Ruler)のステップレースとして注目を集めた。


 勝利したのはフアン・ノリエガ騎乗の1番人気⑥サンディーノルーラーだった。ペースメーカーの④aワンサムライ(One Samurái)を見ながら2番手で進め、直線で思ったよりも粘ったワンサムライを1/2馬身競り落として優勝した。勝ちタイムは2分0秒58。ラティーノアメリカーノに向けて勢いをつけた。


 一方、2番人気に支持された④エモーションオーペンはまさかの4着に敗れた。ゴール直後、鞍上のロドリゴ・ブランコ騎手が下馬した。ただちに検査が行なわれ、レース中に左前脚の腱と上腕を負傷したことが分かった。これにより、エモーションオーペンは南米選手権への出場を断念せざるをえなくなったどころか、現役引退を強いられた。ステップレースでまさかの悲劇である。


 エモーションオーペンを所有するフィルマメント牧場の統括を担うエセキエル・バジェ氏は自身の Instagram で次のように述べた。


「これがエモーションオーペンにとって最後のレースとなった。レース中に左前脚を負傷し、現役続行が不可能となった。調教師、騎手、調教助手、厩務員など、これまでエモーションオーペンに関わったすべての人に感謝したい。隻眼の彼のことを大切に育ててくれてありがとう。怪我以外の状態は良好であり、今後は種牡馬となる予定である。種牡馬にしなければいけない馬である」


 エモーションオーペンは父オーペン、母アンアヴェイラブル、その父ディストーテッドヒューマーという血統の6歳牡馬。アルゼンチンのフィルマメント牧場で産まれた。母母にアルゼンチンの3歳牝馬GⅠを3勝した名牝エモーションパレード(Emotion Parade)を持つ。通算成績は24戦8勝(重賞6勝)。GⅠ競走は、2018年のプロビンシア・デ・ブエノスアイレス(ダ2200m - 3歳)、2020年のダルド・ロチャ(ダ2400m - 3歳以上)、2021年のエストレージャス・クラシック(ダ2000m - 3歳以上)と3勝した。


 この馬は隻眼馬としても有名である。幼少期に母親に蹴られて右目の視力を失った。本来であれば、フィルマメント牧場で産まれた牡馬はセリに出されるのだが、隻眼であるために上場できず、同牧場の所有として競走馬になった。そうした困難を乗り越えてGⅠを勝利したため、ファンの多い馬だった。


 大舞台直前で無念のリタイアとなったが、今年1月に亡くなったアルゼンチンの名種牡馬オーペンの後継として、すでに大きな期待が寄せられている。南米最強馬の称号は産駒に委ねられる。


■ GⅢイタリア


■ GⅠエストレージャス・クラシック



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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