
木下 昂也(Koya Kinoshita)
アルゼンチン・オークスと、アルゼンチン3冠競走第2戦目を展望
10月9日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でGⅠセレクシオン(ダ2000m - 3歳牝馬)が行なわれる。このレースはアルゼンチンのオークスに相当する。
今年は8頭が登録した。うち2頭がアルゼンチンの1000ギニーにあたるGⅠポージャ・デ・ポトランカス(ダ1600m - 3歳牝馬)からの出走となる。
もっとも注目を集めるのは、そのポージャ・デ・ポトランカスを9馬身差で圧勝したカルタエンブルハーダ(Carta Embrujada)である。ストームエンブルハードの仔であり、2歳時にもGⅠホルヘ・デ・アトゥーチャを優勝するなど、ここまで4戦3勝2着2回とほぼ完璧な戦績を残している。ラ・レジェンダ・デ・アルコ牧場の生産、ラ・レジェンダの所有、フアン・サルディビア調教師の管理馬で、鞍上フアン・ノリエガ騎手というのは、2018年にポージャ・デ・ポトランカスとセレクシオンを優勝したサマーラヴ(Summer Love)とまったく同じ陣営である。2冠制覇は堅いかもしれない。
カルタエンブルハーダに対抗できそうな馬が2頭いる。それが、前哨戦となるGⅡフランシスコ・J・ビーズリー(ダ1800m - 3歳牝馬)を勝ったファーアウェイラヴ(Far Away Love)と、2着だったスーペルビジュー(Súper Bijou)である。
ヴァイオレンス産駒のファーアウェイラヴは、デビューしたのは今年8月と遅かったが、そのデビュー戦を5馬身差で快勝すると、前走のGⅡでも5馬身差の逃げ切り勝ちをおさめた。2戦2勝と負けなし。カルタエンブルハーダを負かせる実力はありそうだ。
スーパーセイヴァー産駒のスーペルビジューは、2走前の未勝利戦の勝ち方が非常に良かった。前走のGⅡではファーアウェイラヴに離されたが、スタート直後の接触で後ろからの競馬を強いられたのが痛かった。フィルマメント牧場の素質馬が巻き返しなるか。
■ セレクシオン登録馬

10月16日にアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場で行なわれるGⅠジョッキークルブ(芝2000m - 3歳)の登録馬も発表された。このレースはアルゼンチン3冠競走の第2戦目にあたる。
15頭が登録した。アルゼンチンの2000ギニーにあたる1冠目のGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)からの出走馬は2頭しかいない。馬場がダートから芝に変わる影響が大きい。
しかし、その2頭のうち1頭がポージャ・デ・ポトリージョスの勝ち馬イルウィン(Irwin)である。父シークアゲイン、母父オーペンという血統のこの3歳牡馬は、ここまで5戦3勝2着2回と連対率100%を維持をしており、重賞も3勝している。2歳時には芝1400mのGⅡを勝利していることから、芝もまったく苦にしないだろう。2000mという距離に関しても、半姉イリーサ(Irisa)が2000mのGⅡを勝利していることからそこまで不安はない。唯一の懸念は、ポージャ・デ・ポトリージョスのレベルがあまり高くなかったことである。
イルウィンに対抗、いや、対抗を超えて本命にしてもいいのが、新種牡馬ダニエルブーン産駒のベスパシアーノ(Vespaciano)である。強烈な末脚を武器にここまで3戦3勝と無敗。前走のGⅠ2000ギニー(芝1600m - 3歳)では、最後方追走から直線だけで全頭ごぼう抜きするだけでなく、2着のGⅠ馬シャイフレンド(Shy Friend)に4馬身差をつけて優勝した。距離が伸びてさらに良いタイプだろう。鍵はペースか。前が止まらない展開だと苦しい。
その他の注目馬としては、2歳GⅠを2勝したフィエルアミーゴ(Fiel Amigo)、前哨戦のGⅢエンサージョを制したコディアクボーイ(Kodiak Boy)の名が挙げられる。しかし、フィエルアミーゴはこれが初めての芝挑戦であることに加えて距離不安もあり、コディアクボーイは単に実力が劣るため、イルウィンとベスパシアーノを上回れるとは思えない。
■ ジョッキークルブ登録馬

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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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