• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

大騒動が勃発、GⅠジョッキークルブはナタンの繰り上がり優勝


ナタン(Natan)
写真:Hipódromo San Isidro(@HipodromoSI) https://twitter.com/HipodromoSI/status/1581477724064927744


 10月15日、アルゼンチンのサン・イシドロ競馬場でGⅠジョッキークルブ(芝2000m - 3歳)が行なわれた。このレースはアルゼンチン3冠競走の第2戦目となっている。


 今年は14頭立てと頭数がそろっただけでなく、メンバーレベルも優秀だった。1冠目のGⅠポージャ・デ・ポトリージョスを勝った⑤エルムシカル(El Musical)が2冠を狙う。初めての芝を克服できるか。ポージャ・デ・ポトリージョスの2着馬でGⅠ3戦連続2着という⑧aナタン(Natan)はそろそろビッグタイトルがほしい。2戦2勝でGⅠ2000ギニーを制したナタンの僚馬⑧ジャズセイヴァー(Jazz Seiver)、前哨戦のGⅡを勝った④エルエミネンテ(El Emitente)にも注目が集まった。


 エルムシカルが果敢にハナを切り、⑦アセールウンプエンテ(Hacer Un Puente)が2番手につけた。直線の入口で道中は中団で控えていたナタンが馬群の内から抜け出すと、エルムシカルとの一騎打ちとなった。この争いをエルムシカルが1/2アタマ差しのいで優勝……。と思われたが、残り100m付近でエルムシカルが右のヨレてナタンに接触した。裁決委員は1着入線のエルムシカルを降着とし、アドリアン・ジャネッティ騎乗のナタンが繰り上がりで優勝となった。3着は⑬ザパニッシャー(The Punisher)だった。


「抗議を経ての優勝なので美しい勝ち方ではないが、勝利にはとても満足している。1番人気馬が降着になったので論争は起こるだろう。だが、ジョッキークラブの基準と裁決委員の判断による決定なので仕方がない。わたしにとっては7回目のGⅠジョッキークルブ優勝となった。勝ちたいと思っていたレースをこんなにも勝てるとは思っていなかった。しかし、ナシオナルを勝ったことがないので、その分の埋め合わせなのかもしれない」と、ナタンを管理するカルロス・エチェチュリー調教師は述べた。



 ナタンは父セニョールキャンディー、母ニュイ、その父オーペンという血統の3歳牡馬。2019年8月31日にアルゼンチンのカランパンゲ牧場で産まれた。半兄には今年のGⅠレプブリカ・アルヘンティーナを勝ったニエーヴル(Nievre)がいる。


 2022年4月2日にデビューし、2戦目で勝ち上がった。その後はGⅠを3戦して3連続の2着と悔しい結果が続いた。今回も入線は2着だったが、裁決によって悲願のGⅠタイトルを獲得した通算成績は6戦2勝(重賞1勝)で、連対率は100%を維持している。


 今後についてエチェチュリー調教師は、状況次第ではあるがナシオナル(ダービー)に向かうだろうと述べた。芝でもダートでも走れる安定感は大舞台でも魅力である。


 レース後に大事件が起こった。


 降着に納得できなかったエルムシカルを所有するマミーナの陣営が裁決室に乗り込んだ。激しい罵声を浴びせるにとどまらず、裁決室の窓ガラスを足蹴りで破壊。ついには掲示板によじ登って着順の番号札を叩き落として破壊した。


 アルゼンチン・ジョッキークラブはマミーナの馬主資格を即座に停止にした。また、ディエゴ・ガルシーア氏、リディア・マキモト女史、アリエル・ガルシーア氏の3名も名指しで一時資格停止処分とした。暴言と破壊行為による馬主資格取消は免れないものと思われる。


 競馬場公式のSNSには「盗まれた(robo)」「失態(fallo)」というコメントが多数書き込まれた。しかし、パトロール映像を見れば斜行・降着の判断が正しかったことが一目瞭然である。




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