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今年のGⅠカルロス・ペジェグリーニは注目したほうがいい!


カルロス・ペジェグリーニ
写真:Hipódromo San Isidro(@HipodromoSI) https://twitter.com/HipodromoSI/status/1602732610681192449

 12月17日にアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場で行なわれるGⅠカルロス・ペジェグリーニ(芝2400m - 3歳以上)の出走馬が確定した。南米最高峰のGⅠ競走であり、勝ち馬には2023年のBCターフの優先出走権が与えられる。


 『南米の凱旋門賞』と言われることもあるが、近2年のレースレベルは凱旋門賞の名を借りるのが恥ずかしいほど低レベルだった。2020年は新型コロナウイルスによる約半年の競馬開催中断の影響をモロに受け、2021年は3歳馬の実力があまりにも乏しかった。



 しかし、今年のカルロス・ペジェグリーニは近年稀に見るハイレベルな戦いとなりそうだ。外国からの遠征馬はいないが、15頭と頭数がそろい、古馬のレベルも3歳馬のレベルも高い。


 中でも注目なのは⑪ドゥラッツォ(Durazzo)である。今年アルゼンチンに現れた4歳の新星で、3月にリステッド競走を勝ってからGⅠ3勝を含む6連勝中。現アルゼンチン古馬ではもっとも強い馬で、サン・イシドロ競馬場の芝2400mはベストの条件である。死角がまったく見当たらない。


 今年のアルゼンチン3歳世代は極端な牡高牝低と言われている。その強い3歳牡馬の上位勢が殴り込んできた。


 ⑨ニーニョグアポ(Niño Guapo)はGⅠナシオナル(ダ2500m - 3歳)を4馬身差で快勝してダービー馬となった。競走能力はもちろんのこと、4代母にニポーナ(Nipona)を持つという血統背景は申し分なく、3歳馬なので斤量にも恵まれる。唯一の不安材料はこれが初めての芝ということである。


 2000ギニーにあたるGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)の勝ち馬④エルムシカル(El Musical)もここに駒を進めた。ナシオナルではニーニョグアポに差されて2着に敗れたが、2番手追走から早め先頭で粘り込みを図るという自信満々のレース運びを見せた。距離適性も芝適性も証明済み。スムーズに先行できればチャンスがある。


 前哨戦のGⅢを勝った⑧エルシッドカンペアドール(El Cid Campeador)、2着の⑭エルエミネンテ(El Eminente)、3着の⑫アセールウンプエンテ(Hacer Un Puente)も順当に出走してきた。豊作と言われる3歳牡馬の実績馬が出てくるだけで、今年のカルロス・ペジェグリーニは一味も二味も違う。


 他に有力馬を挙げるとすれば、古豪⑩ミリニャーケ(Miriñaque)の名前は無視できない。現在はGⅠ連勝を含む4連勝中。2019年と2021年のカルロス・ペジェグリーニはどちらも2着だった。3度目の正直といきたいところだが、今年はそのときと比べて出走馬の層の厚さがまるで違う。年齢的な伸びしろも見込めず、厳しい戦いを強いられそうだ。


 2021年の2冠馬⑦イルウィン(Irwin)はこれが中東遠征からの復帰戦となる。去年のカルロス・ペジェグリーニでは堂々の本命候補だったが、ドーピングによる出走停止処分を受けて参加できなかった。今年3月のUAEダービーに出走したものの、輸送で体調を崩して惨敗。調整不安と長期休み明けで大幅な割引が必要だろう。


 有力馬の名前をいくつか挙げたが、今年はおそらくドゥラッツォが快勝する。このレースの後はドバイ遠征のプランがあり、先々にはBCターフの優先出走権を行使するかもしれない。つまり、日本を含む世界の強豪とぶつかる可能性もなきにしもあらず。今年のカルロス・ペジェグリーニは海外競馬ファンにとって見逃せない一戦である。


 発走は日本時間12月18日の午前7時30分ごろ。


【筆者予想】

◎ ドゥラッツォ

○ エルムシカル

▲ ニーニョグアポ

△ アセールウンプエンテ

△ ザパニッシャー

△ ミリニャーケ



 カルロス・ペジェグリーニと同日に行なわれる他の3つのGⅠも簡単に見ていこう。


 牝馬限定のGⅠコパ・デ・プラタ(芝2000m - 3歳以上)は、例年と比べてメンバーレベルが落ちる。出走19頭のうち、誰が勝っても不思議ではない。


 レベル低下の原因は、ソヴィエトキャッチ(Soviet Catch)のような実力馬の海外移籍・売却と、3歳牝馬の不作である。コパ・デ・プラタの勝ち馬は毎年のように日本に買われているが、今年は購入見送りが吉か。良い内容で3連勝中の3歳牝馬⑨イッサ(Issa)には注目したい。


 マイルGⅠのホアキン・S・デ・アンチョレーナ(芝1600m - 3歳以上)も19頭立てと頭数はそろったが、やや物足りないメンバー構成となった。アルゼンチンのマイル路線を引っ張る3頭のうち、チャンタジョイ(Chanta Joy)とマリブースプリング(Malibú Spring)の2頭が回避した。


 そのため⑭ドンエンペーニョ(Don Empeño)の1強となった。ライバル不在のここは絶対に落とせない。アグネスゴールド産駒の素質馬⑨マヌーカ(Manuca)の一発にも期待したいが、個人的にはコパ・デ・プラタに回ってほしかった。


 直線1000mのGⅠフェリクス・デ・アルサガ・ウンスエー(芝直1000m - 3歳以上)は23頭立てと大賑わい。昨年の20頭立てからさらに3頭増えた。


 5戦5勝の3歳馬⑨ラブラード(Labrado)と元短距離王者の⑯リュティエブルース(Luthier Blues)が3度目の直接対決を迎える。この2頭の一騎打という様相を呈しているが、これだけの多頭数になれば何が起こるか分からない。


 リュティエブルースはこれで引退、もしくはイギリス移籍と言われている。国内最後になるかもしれないレースでラブラードを倒せるか。非常に見ごたえのあるレースになりそうだ。



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

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Mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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