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  • 木下 昂也(Koya Kinoshita)

ワールドカップでのアルゼンチンの躍進が競馬産業に大打撃を与える

 アルゼンチンがワールドカップで決勝に進んだのは国民にとって素晴らしい出来事である。しかし、競馬産業はそれによって大きな打撃を受けることとなった。


 ワールドカップでのアルゼンチンの試合日程と競馬開催日程は以下のようになっている。


  • 11月21日 VSサウジアラビア(パレルモ開催)

  • 11月26日 VSメキシコ(サン・イシドロ開催)

  • 11月30日 VSポーランド(サン・イシドロ開催)

  • 12月03日 VSオーストラリア(サン・イシドロ開催)

  • 12月09日 VSオランダ(ラ・プラタ開催)

  • 12月13日 VSクロアチア(ラ・プラタ開催)

  • 12月18日 VSフランス(パレルモ開催)


 グループリーグ初戦のサウジアラビア戦はアルゼンチン時間の午前7時に行なわれたため、第1Rが午後1時に発走だった同日のパレルモ競馬場開催と被ることはなかった。


 しかし、それ以降の試合はすべてアルゼンチン時間午後4時にキックオフだったため、試合の時間と競馬開催の時間が丸々被ってしまった。



 サッカーのことしか頭にないような国民である。サッカー中継と競馬中継がバッティングすれば、どんな競馬好きだろうとサッカーを優先する。それはつまり、競馬場への集客と収益が落ちることを意味する。競馬場側は対応を強いられた。


 サン・イシドロ競馬場は、通常の競馬開催を続けながら、場内のモニターや大型ビジョンで試合を放送するという対応をとった。目の前で競馬が行なわれているにもかかわらず、大型ビジョンではサッカーの試合が放送されているというのは異様な光景だった。


 ラ・プラタ競馬場はレースを中断した。試合が始まるまでは通常どおりレースを行ない、試合時間の間はレースを中断。試合終了後に再びレースを再開するという手段を講じた。



 しかし、現実はそう甘くはなかった。競馬場のこうした努力もむなしく、競馬産業はアルゼンチン代表の躍進によって大打撃を受けた。


 アルゼンチンの競馬メディア『レビスタ・パレルモ(Revista Palermo)』によると、グループリーグのメキシコ戦とポーランド戦、ベスト16のオーストラリア戦と3試合が被ったサン・イシドロ競馬場は、3日間の売り上げがいずれも通常時より30%減少した。


 準々決勝のオランダ戦と準決勝のクロアチア戦が被ったラ・プラタ競馬場に関しては、試合時間に合わせてレースを中断したにもかかわらず、通常時より50%も売り上げが減少したとのことである。


 フランスとの決勝戦はアルゼンチン時間の18日午後12時にキックオフが予定されている。本来であればパレルモ競馬場開催と被るはずだった。


 しかし、2場の明らかな収益減少を目の当たりにしたパレルモ競馬場は、アルゼンチンが準決勝に駒を進めた段階で早くも、「もしアルゼンチンが決勝に進んだ場合は18日の開催を中止する」と発表した。アルゼンチンが実際に決勝進出を果たすと、18日の開催中止を決定し、中止分のレースを16日と19日の開催に分配した。


 アルゼンチンの決勝進出は喜ばしいことだが、それによって競馬産業は収益の減少に苦しむこととなった。競馬開催も中止に追い込まれた。


 では、当の競馬関係者はこうした事態をどのようにとらえているだろうか。


 おそらく何も思っていない。競馬関係者の SNS を見るかぎりでは、自国の決勝進出を純粋に喜んでいる。


 また、騎手も調教師も厩務員も、誰もが決勝戦を生で見たいと思っているはずである。もしパレルモ競馬場が決勝戦があるにもかかわらず通常どおり開催を行なうと発表していたら、当事者である競馬関係者から大抗議が寄せられただろう。


 競馬関係者もアルゼンチン国民。ということは、サッカー優先なのである。



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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