
木下 昂也(Koya Kinoshita)
天才児サトゥがGⅠホアキン・S・デ・アンチョレーナで27年ぶりにレコードを更新

写真:Hipódromo San Isidro(@HipodromoSI) https://twitter.com/HipodromoSI/status/1604271009942704129
12月17日、アルゼンチンのサン・イシドロ競馬場でGⅠホアキン・S・デ・アンチョレーナ(芝1600m - 3歳以上)が行なわれた。
19頭と頭数はそろったが、チャンタジョイ(Chanta Joy)、マリブースプリング(Malibú Spring)というマイル路線3強のうちの2頭が出走しなかったため、やや物足りないメンバー構成となった。
3強の一角を占める⑭ドンエンペーニョ(Don Empeño)が圧倒的な1番人気に支持されるはずだった。しかし、ドンエンペーニョもコンディション不良で出走を取り消したため、誰が勝ってもおかしくない18頭立ての大混戦と化した。
2歳GⅠを2勝した3歳馬の⑮スブサナドール(Subsanador)が3.05倍で1番人気となった。だが、近走不調で危うい人気馬という感じは否めない。GⅠサン・イシドロを勝った⑬バンクラフ(Bamb Craf)と、前走の条件戦を20馬身差で勝った①サトゥ(Satu)が4.90倍で2番人気タイとなった。
サトゥが最内枠の利を活かしてハナを切った。2番手には⑤サントディオス(Santo Dios)がつけ、3番手には④グロッソアモールが続いた。1番人気のスブサナドールは中団の外を追走した。
400mの通過が23.19秒、800mの通過が44.84秒、1200mの通過が1:06.93というハイペースとなったが、この日の馬場は内と前が止まらない。軽快に飛ばしたオルテガ・パボン騎乗のサトゥが、サントディオスの必死の追い上げを1/2馬身差しのいで勝利した。3着にはアグネスゴールド産駒の3歳牝馬⑨マヌーカ(Manuca)が入った。
良馬場の勝ちタイムは1分30秒90だった。これは1995年2月25日にリトン(Ritón)が出した1分31秒00という芝1600mのアルゼンチン・レコードを27年ぶりに更新する驚異的なレコードタイムである。サトゥはキャンディライドでさえも破れなかった記録を0.20秒も上回ってみせた。
「良い馬。本当に素晴らしい馬。リトンのレコードタイムを破るなんて怪物的だ。もっと上を目指せる。チームや家族にとって幸せな勝利となった」と、サトゥを管理するニコラス・マルティン・フェッロ調教師は述べた。
サトゥは父キャッチャーインザライ、母サタライア、その父イークワルストライプスという血統の3歳牡馬。2019年10月28日にアルゼンチンのアボレンゴ牧場で産まれた。
2022年10月15日のデビュー戦を白星で飾ると、前走の条件戦では2着に20馬身もの大差をつける圧巻の勝利をおさめた。
キャリア2戦しかしていない遅産まれの3歳馬が、古馬を蹴散らしていっきにアルゼンチン・マイル路線のトップに上り詰めた。しかもレコードタイムのおまけつきである。アルゼンチンに怪物が現れたかもしれない。
なお、⑧エウラリオ(Eulario)は4コーナーの密集で馬が躓き、鞍上のイバン・モナステローロ騎手が落馬したため競走中止となった。
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