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リュティエブルースVSラブラード、新旧短距離王者の死闘はリュティエブルースに軍配


リュティエブルース(Luthier Blues)
写真:Turf Diario https://www.turfdiario.com/luthier-blues-y-el-dale-campeon-dale-campeon-que-se-desato-tras-una-victoria-formidable/

 3月12日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でGⅢイルランダ(ダ直1000m - 3歳以上)が行なわれた。例年と異なり、今年のこのレースは戦前から異様な盛り上がりを見せていた。新旧の短距離王が激突したからである。


 ②リュティエブルース(Luthier Blues)は2021年から2022年にかけてGⅠ4勝を含む直線10連勝を達成した。しかし、鼻出血の影響もあって昨年末は勝ち星から遠のいた。今年の始動戦である2月13日の特別競走で復活の勝利をあげて今回に挑む。


 リュティエブルースに代わって短距離王の座に就いたのが、3歳馬の⑤ラブラード(Labrado)である。ここまでGⅠ2勝を含むデビューから無傷の5連勝中。だが、前走のGⅠフェリクス・デ・アルサガ・ウンスエーでは圧倒的1番人気に支持されながらも、ゲートで暴れて放馬したため競走除外となった。そのときの悔しさを晴らしたい。


 レースは6頭立てで争われた。だが、この2頭と残る4頭との間の実力差は大きく、何事もなければリュティエブルースとラブラードの一騎打ちというのが戦前の予想だった。ラブラードが2.15倍で1番人気、リュティエブルースが3.75倍で2番人気となり、3番人気からは20.45倍とオッズがいっきに跳ね上がった。



 ポンと飛び出したラブラードに対して、リュティエブルースはいつものように後ろからの競馬となった。直線後半でラブラードが抜け出して6連勝達成と思われた。しかし、内からリュティエブルースが猛然と追い上げ、ゴール前は2頭の叩き合いになった。この接戦をブライアン・エンリケ騎乗のリュティエブルースがクビ差制して勝利した。良馬場の勝ちタイムは55秒51。


「リュティエブルースが最高の状態を取り戻すのに我々は多くの労力を費やした。この馬のために手を差し伸べてくれた人々、とりわけ獣医師のグスタボ・バジョンには感謝してもしきれない。馬主のワルテル・ロルダンは我々を信頼してくれた。もう1度リュティエブルースにチャンスを与えてほしいとお願いし、そしてリュティエブルースは再び勝つことができた」と、リュティエブルースを管理するゴンサーロ・サルノ調教師は述べた。


 馬主であるワルテル・ロルダン氏は次のようにコメントした。


「リュティエブルースには再び1着でゴール板を駆け抜けてほしかったので、今はとても幸せである。このレースを使うと決めたのはゴンサーロ・サルノで、彼は勝利を信じていた。リュティエブルースに贈られた拍手を見て、リュティエブルースに贈られた声援を聞いて、馬主としてこれ以上何も望むことはないと感じた。家族と、この馬を愛しているファンに感謝したい」


■ レース後、リュティエブルースには「いいぞ、チャンピオン(¡Dale Campeón!)」のチャントが贈られた。


 リュティエブルースは父ルブルース、母ハウスルールズ、その父ハウスバスターという血統の5歳牡馬。2017年9月13日にアルゼンチンのエル・パライソ牧場で産まれた。普段はアスール競馬場で調教を積んでいる、いわゆる地方所属馬である。


 今年に入って連勝となり、通算成績を25戦16勝(重賞8勝)とした。重賞勝利は2022年6月25日のGⅠエストレージャス・スプリント以来である。なお、ブライアン・エンリケ騎手とのコンビでは9戦9勝と負けなしを継続している。


 一方、わずかクビ差で敗れたラブラードは、6戦目にしてキャリア初黒星を喫した。直線1000mで10連勝を達成したリュティエブルース。その連勝を止めたのがラブラード。そのラブラードに今回初めて土をつけたのがリュティエブルースと、2頭のライバル関係にはこれからも目が離せない。


 リュティエブルースの今後についてサルノ調教師は、「これからどうするのか考えている。次にどのレースを使うかは決めていない。だが、近日中に決められるだろう」と述べた。




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木下 昂也(Koya Kinoshita)

【Twitter】 @koyakinoshita24

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【Mail】 kinoshita.koya1024@gmail.com

【HP】 https://www.keiba-latinamerica.com/

Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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