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「俺たちは水色!」ジローナフィーヴァーがGⅠシウダー・デ・ブエノスアイレスの激闘を制す


ジローナフィーヴァー(Girona Fever)
写真:Revista Palermo https://www.revistapalermo.com.ar/notas/2413-vino-por-la-gloria-y-la-conquist

 5月1日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でGⅠシウダー・デ・ブエノスアイレス(ダ直1000m - 3歳以上)が行なわれた。


 10頭立てとなったが、注目されたのは⑩ラブラード(Labrado)と⑨ジローナフィーヴァー(Girona Fever)の2頭である。


 ラブラードは昨年GⅠ2勝を含む5戦5勝でアルゼンチン最優秀スプリンターに選出された。前走のGⅢイルランダではライバルのリュティエブルース(Luthier Blues)にクビ差で敗れたが、そのリュティエブルースは引退したため、ラブラードがアルゼンチンの短距離王であることは疑いない。2.10倍で1番人気に支持された。


 ジローナフィーヴァーはウルグアイから遠征してきた牝馬である。通算成績は17戦14勝、2着2回、残る1回は1着入線からのドーピング失格と、ほぼ完璧な戦績を残している。2021年、2022年と連続でウルグアイ年度代表牝馬に選出された。本当は昨年このレースを走る予定だったが怪我のため無念の回避。1年越しの出走でGⅠ初制覇を狙う。2番人気こそ⑦コモプドスセデールメ(Comopudosucederme)に譲ったが、5.30倍で3番人気となった。


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 スタート直後からラブラードとジローナフィーヴァーが馬体をぶつけ合う激しい展開となった。⑤アーバンレディー(Urban Lady)、コモプドスセデールメ、⑧マドンナキー(Madonna Key)の3頭がレースを引っ張った。ラブラードはすんなりと外ラチ沿いに進路を取れたが、ジローナフィーヴァーは前の3頭が壁になったため進路を馬場の中央に切り替えた。


 残り400mのところでジローナフィーヴァーが抜け出すと、ラブラードは内に切れこんでジローナフィーヴァーに馬体を合わせにいった。残り200mではラブラードが前に出ていたが、フェデリーコ・ピーリッツ騎乗のジローナフィーヴァーが再び盛り返し、アタマ差でこの激闘をしのいで勝利した。良馬場の勝ちタイムは53秒80。


 ラブラードとジローナフィーヴァー。アルゼンチン短距離王とウルグアイ短距離女王。アルゼンチンVSウルグアイは、ウルグアイに軍配が上がった。ウルグアイ産馬・ウルグアイ調教馬がアルゼンチンGⅠを勝利するのは、2007年のGⅠレプブリカ・アルヘンティーナを勝ったポトリフラッシュ(Potri Flash)以来16年ぶりである。


 競馬場に駆けつけたウルグアイのファンはウルグアイ国旗を振り、ウルグアイでは誰もが知っているチャントである「俺たちは水色。俺たちは水色なんだ!(Soy celeste, celeste soy yo)」を大合唱した。セレステとは水色の意味であり、ウルグアイの愛称である。


「本当にエグい馬。どのレースでも簡単にクリアしてしまう。パレルモ競馬場は初めてだったが、まるで自分のホームグラウンドのように過ごしていた。馬場も合っていた。発馬後に接触があったが、途中で馬場の中央に進路を修正し、素晴らしい勝利をおさめることができた。今日競馬場に来てくれたウルグアイのファン、このレースのために私を支えてくれた人々に感謝している。とても嬉しい」と、鞍上のフェデリーコ・ピーリッツ騎手はウルグアイ国旗を肩に掛けながら述べた。



 ジローナフィーヴァーは父テキサスフィーヴァー、母サムシングディキシー、その父ディキシーユニオンという血統の4歳牝馬。2018年8月13日にウルグアイのエル・サント牧場で産まれた。半兄にはGⅢ馬ドッグバリエンテ(Dog Valiente)がいる。


 ウルグアイでは17戦14勝、2着2回、1着入線からの失格1回と完璧な成績を残した。2021年と2022年のウルグアイ年度代表牝馬に選出され、ウルグアイの短距離王決定戦であるGⅢマローニャスを2022年、2023年と連覇した。


 本当は昨年のGⅠシウダー・デ・ブエノスアイレスに出走する予定だったが、前哨戦として使った国内のリステッド競走で筋肉系の故障を発生し、半年の戦線離脱を強いられて遠征を断念した。


 1年越しの出走はアルゼンチンのスプリント王ラブラードが相手。しかも、遠征競馬も初めて、パレルモ競馬場も初めて、直線競馬も初めて、ナイター競馬も初めてという不利な条件が重なっていたが、見事に乗り越えて見せた。


ジローナフィーヴァーの今後についてピーリッツ騎手は「このレースが目標だった。こっちに留まるかもしれないし、あっちに行くかもしれない。1歩1歩ということ。馬主と調教師の判断になる。自分はどこにでも彼女についていく」と述べた。


 

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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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