ラ・プラタの女王マドンナベノワがGⅠポージャ・デ・ポトランカスを優勝、史上5頭目のダブル1000ギニー制覇

写真：Revista Palermo

　9月2日、アルゼンチンのパレルモ競馬場でGⅠポージャ・デ・ポトランカス（ダ1600m - 3歳牝馬）が行なわれた。アルゼンチンの1000ギニーに相当し、アルゼンチン3冠競走の初戦となっている。

　今年は11頭で争われた。アグネスゴールド産駒のGⅠ馬ノーフィアー（No Fear）は回避した。単勝オッズ1桁台が3頭しかいない3強対決となった。

　⑩ロマンスシー（Romance Sea）が3.05倍で1番人気に支持された。前哨戦のGⅡルイス・マリーア・カンポス（ダ1600m - 3歳牝馬）を8馬身差で圧勝したことが評価された。ここまで2戦2勝。無敗での1000ギニー獲りに挑む。

　アグネスゴールド産駒の⑨ネヴァーウォークアローン（Neverwalkalone）が3.30倍で2番人気となった。GⅠエストレージャスJF（芝1600m - 2歳牝馬）とGⅠ1000ギニー（芝1600m - 3歳牝馬）を勝ち、世代の頂点に君臨している。ダートコースを不安視されたか、1番人気をロマンスシーに譲った。

☞☞☞ アグネスゴールド産駒のネヴァーウォークアローンがGⅠ1000ギニーを差し切ってGⅠ連勝

　6.15倍で3番人気に推された⑧マドンナベノワ（Madonna Benois）は、ラ・プラタ競馬場の1000ギニーにあたるGⅡポージャ・デ・ポトランカス（ダ1600m - 3歳牝馬）の勝ち馬である。ここまでの8戦はいずれもラ・プラタ競馬場での出走であり、7勝して重賞5勝と圧倒的な強さを見せつけている。だが、パレルモ競馬場での走りは未知数である。

　③aエルボールーム（Elbow Room）がハナを切ろうとしたが、外からじわじわと上がっていった⑤ラボンボネーラ（La Bombonera）が結局先頭に立った。いつもは後方で脚を溜めるネヴァーウォークアローンが今回は積極的に中団を追走し、ロマンスシーとマドンナベノワは最後方からの競馬となった。

　直線に入ると、ネヴァーウォークアローンが早くも先頭を射程にとらえた。しかし、好位から抜け出した③エディクト（Edict）がなかなか先頭を譲らない。2頭が競り合っているところに、今度は大外からマドンナベノワが強烈な末脚で伸びてきた。

　ゴール前は3頭による激戦となり、これをフランシスコ・ゴンサルヴェス騎乗のマドンナベノワが1/2馬身差で差し切って勝利した。良馬場の勝ちタイムは1分32秒47。

　半馬身差の2着には6番人気のエディクトが粘った。GⅠ3連勝を狙ったネヴァーウォークアローンは2着からアタマ差の3着に敗れた。1番人気のロマンスシーは、直線で挟まれる不利もあって4着だった。

　マドンナベノワは父アンヒオーロ、母マルロット、その父エルコレドールという血統の3歳牝馬。2020年8月14日にアルゼンチンのエル・パライソ牧場で産まれた。全姉には重賞4勝のメリーローラン（Mery Laurent）がいる。

　これまでの8戦はいずれもラ・プラタ競馬場での出走であり、重賞5勝を含む7勝、2着1回という圧倒的な強さを見せつけていた。パレルモ競馬場での出走は今回が初めてだったが、強烈な末脚はコースが変わっても錆びなかった。

　マドンナベノワはラ・プラタ競馬場の1000ギニーであるGⅡポージャ・デ・ポトランカスも優勝している。そのため、ダブル1000ギニー制覇となった。ラ・プラタ競馬場のポージャ・デ・ポトランカスとパレルモ競馬場のポージャ・デ・ポトランカスのどちらも優勝した馬は、1946年のニーニャブルハ（Niña Bruja）、1948年のエンペニョーサ（Empeñosa）、1955年のチャピネータ（Chaineta）、2022年のウナアラバレーラ（Una Arrabalera）以来、史上5頭目である。

　父のアンヒオーロは、2013年よりアルゼンチンのエル・パライソ牧場で種牡馬入りした内国産種牡馬である。毎年120頭近い牝馬と種付けをする人気種牡馬で、通算勝利数は600勝に迫るが、産駒のGⅠ勝利は今回が初めてとなった。