牝馬3冠はまたもや波乱、伏兵シレンシアドーラがブラジル・オークス馬に輝く

写真：Jockey Club Brasileiro / Sylvio Rondinelli https://jcb.com.br/home/noticias/381803/silenciadora-e-a-gloria-eterna-do-gp-diana-araras-blood-power-g1/

　3月12日、ブラジルのリオデジャネイロにあるガヴェア競馬場でGⅠヂアナ（芝2000m - 3歳牝馬）が行なわれた。このレースはブラジル（カリオカ）牝馬3冠競走の2戦目であり、ブラジルのオークスに相当する。

　1000ギニーにあたる1冠目のGⅠエンヒキ・ポソーロと同じく、今回も16頭立ての大混戦となった。16頭中11頭が1000ギニーから引き続きオークスに出走する。

　GⅠエンヒキ・ポソーロを12番人気ながら快勝した⑫ツイストアンドシャウト（Twist And Shout）が3.9倍で1番人気に支持された。牝馬2冠なるか。

　5.1倍の2番人気にはサルト産駒の⑭レンヌ（Rennes）が推された。この馬は1000ギニーに出走しなかった別路線組である。1冠目をパスしてオークスに狙いを定め、前哨戦の特別競走を勝利した。外枠を引いたのが苦しいか。

　人気は①ブラッディーマリー（Bloody Mar）、②リミテッドエディション（Limited Edition）、⑤リーガルネメシス（Regal Nemesis）と続き、ここまでが単勝オッズ1桁台となった。

　⑥リトルビューティー（Little Beauty）が好スタートを決めてハナを切った。⑨シレンシアドーラ（Silenciadora）が2番手を進み、⑬ブロードウェイ（Broadway）が3番手につけた。人気どころでは、リミテッドエディションは中団の内を走り、レンヌはその外を追走した。ツイストアンドシャウトは前走のように後方で脚を溜めた。

　直線に入ると、2番手にいたフランシスコ・ゴンサルヴェス騎乗のシレンシアドーラがあっさりと抜け出して先頭に立った。内から追い上げたリーガルネメシスも楽に振り切り、見事にブラジル・オークス馬の座を手に入れた。重馬場の勝ちタイムは2分1秒23。

　2馬身差の2着にはリーガルネメシスが入った。3着には逃げたリトルビューティーが粘った。リトルビューティーは2021/22シーズンの最優秀2歳牝馬だが、3歳になってから調子を崩しており、ようやく復調の兆しを見せた。ツイストアンドシャウトは末脚不発で6着だった。

　牝馬3冠競走はまたもや大波乱となった。1冠目のGⅠエンヒキ・ポソーロが12番人気、14番人気、9番人気の決着。今回のGⅠヂアナではそのときの上位3頭が丸々飛び、10番人気、5番人気、12番人気という決着になった。これを見るだけで、ブラジルの3歳牝馬路線が大混戦であることが分かる。

　シレンシアドーラは父ダニエルブーン、母ザルツブルグクイーン、その父ピュアプライズという血統の3歳牝馬。2019年10月2日にサンタ・マリア・ヂ・アラーラス牧場のアルゼンチン拠点で産まれた。

　2022年6月12日にガヴェア競馬場でデビューし、3戦目で初勝利をあげた。前走はオークス・トライアルの特別競走に出走して3着だった。キャリア1勝馬の伏兵が混戦の牝馬路線を1歩抜け出した。通算成績は6戦2勝（重賞1勝）。

　シレンシアドーラの鞍上を務めたのはフランシスコ・ゴンサルヴェス騎手である。アルゼンチンを拠点にしているブラジル人騎手で、現在アルゼンチンの騎手リーディングを独走している。GⅠフランシスコ・エドゥアルド・イ・リンネオ・エドゥアルド・ヂ・パウラ・マシャードでラプターズ（Raptor's）に騎乗するためリオデジャネイロを訪れ、GⅠヂアナでもシレンシアドーラに跨った。サンパウロ競馬学校の出身。サンパウロで活躍した後にアルゼンチンに移ったため、ガヴェア競馬場でのGⅠ勝利はこれが初めてだった。

「自分にとってガヴェア競馬場での初めてのGⅠ優勝となった。この勝利をアルゼンチンにいる家族に捧げたい。クリスチアーノ・オリヴェイラ調教師と関係者には感謝している。彼らを祝福したい」と、ゴンサルヴェス騎手は表彰式で述べた。