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アグネスゴールド産駒のドウトールスレーニョが5連勝でGⅠマチアス・マッハラインを優勝、南米選手権へ


ドウトールスレーニョ(Doutor Sureño)
写真:ABCPCC / Marília Lemos https://abcpcc.com.br/noticias/post/pura-emocao-doutor-sureno-e-o-heroi-da-copa-abcpcc-classica-matias-machline-g1

 8月5日、ブラジルのサンパウロにあるシダーヂ・ジャルヂン競馬場でGⅠABCPCC クラシカ - マチアス・マッハライン(芝2000m - 4歳以上)が行なわれた。勝ち馬には、10月7日にアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場で開催される南米選手権GⅠラティーノアメリカーノ(芝2000m - 4歳以上)のブラジル代表馬の座が与えられる。


 今年は9頭で争われた。GⅠブラジル(芝2400m - 3歳以上)の勝ち馬ラプターズ(Raptor's)は、9月3日のGⅡドウトール・フロンチンに向かうため回避となったが、なかなかのメンバーがそろった。


 1.70倍で1番人気に支持されたのは、アグネスゴールド産駒の②オンライン(Online)である。前走のGⅠブラジルでは2着に入線したが、最後のコーナーでの斜行によって16着降着という苦渋を味わった。昨年2着だったこのレースで雪辱を果たしたいところ。


 同じくアグネスゴールド産駒の⑦ドウトールスレーニョ(Doutor Sureño)が、3.50倍で2番人気に推された。2023年は4戦4勝と無敗。5月7日にはサンパウロ最大の競走であるGⅠサンパウロ(芝2400m - 3歳以上)を優勝した。前哨戦のリステッド競走も5馬身差で快勝しており、死角が見当たらない。


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 出走唯一の牝馬である④ケンローヴァ(Kenlova)が、8.40倍で3番人気となった。サンパウロの牝馬GⅠOSAF(芝2000m - 3歳以上牝馬)とリオデジャネイロの牝馬GⅠホベルト・イ・ネルソン・セアブラ(芝2000m - 3歳以上牝馬)の勝ち馬である。同日に組まれた牝馬限定の特別競走にも登録していたが、最終的にこちらを選んだ。ブラジルの絶対女王が、キャリア初となる牡馬との対決に挑む。


☞☞☞ サンパウロ女王ケンローヴァがGⅠホベルト・イ・ネルソン・セアブラを勝って牝馬路線を完全統一

 8.70倍で4番人気の③エッシャー(Echer)は、今年5月までは目立った存在ではなかった。だが、GⅠブラジルで人気薄ながら直線追いこんで2着(※3着入線)となったことで、一躍注目されるようになった。鞍上にジョアン・モレイラ騎手をスタンバイしてGⅠ初制覇を狙う。



 ⑧カンフー(Kung Fu)がハナを切った。1番人気のオンラインが積極的な競馬で2番手につけた。ケンローヴァは中団を追走し、それを見るようにしてドウトールスレーニョが続いた。エッシャーは前走同様に後ろの競馬となったが、終始おっつけながらの苦しい走りだった。


 直線ではオンラインが抜け出そうとした。しかし、手応えがあまり良くなく、後ろにいたドウトールスレーニョに簡単に交わされてしまった。ドウトールスレーニョの外からは、後方で脚を溜めていたマキシマムドライヴ(Maximum Drive)が伸びてきた。この2頭の叩き合いは、1/2アタマ差という僅差でジョゼー・セヴェーロ騎乗のドウトールスレーニョが制した。良馬場の勝ちタイムは1分57秒96。


 マキシマムドライヴは惜しくも2着だったが、9頭立ての7番人気という伏兵だったことを考えれば大健闘である。3着にはなんとか1番人気のオンラインが粘り、1着アグネスゴールド産駒、2着ハットトリック産駒、3着アグネスゴールド産駒という、サンデーサイレンス種牡馬によるワンツースリー決着となった。



 ドウトールスレーニョは父アグネスゴールド、母ノタヴェルスレーニャ、その父ファーストアメリカンという血統の5歳牡馬。2018年9月18日にブラジルのオールド・フレンズ牧場で産まれた。半兄のビエンスレーニョ(Bien Sureño)はGⅠ馬、もう1頭の半兄アヴィアンスレーニョ(Avião Sureño)も重賞馬という良血馬である。


 2021年12月26日にデビューし、3戦目で初勝利をあげた。2000mから2400mの中長距離戦を主戦場にしている。2022年までは12戦4勝、重賞未勝利という成績にすぎなかった。


 しかし、2023年になって素質が開花した。2月4日のGⅢで重賞初勝利をおさめると、3月4日のGⅢも勝って重賞連勝。5月7日には、第100回という記念大会となったGⅠサンパウロを優勝し、2022/23シーズンのブラジル最優秀4歳以上牡馬に選出された。


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 5歳となった今シーズンは7月1日のリステッド競走で始動し、これを5馬身差で快勝した。今回の勝利で2023年の成績を5戦5勝とし、重賞4連勝・GⅠ連勝を飾った。通算成績は17戦9勝(重賞4勝)。


 この勝利でドウトールスレーニョは、10月7日にアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場で開催される『競馬の南米選手権』GⅠラティーノアメリカーノのブラジル代表の座をほぼ確実なものとした。陣営は出走に前向きであり、何事もなければアルゼンチン遠征を行なうだろう。アグネスゴールド産駒が南米王者に輝くかもしれない。




Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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