• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

シーキングザダイヤに種牡馬リーディング獲得の可能性



 2022年、シーキングザダイヤが再びチリの種牡馬リーディングを獲得するかもしれない。推測でも願望でもなく、数字からその可能性がはっきりと見えている。


 2022年8月9日時点のチリ・スタッドブックの統計によると、ルッキンアットラッキーが642,877,250ペソで種牡馬リーディングの首位に立っている。シーキングザダイヤは637,832,500ペソで2位につけている。その差は約500万ペソ。GⅠを1勝、もしくは重賞を2勝で逆転できる差である。


 シーキングザダイヤ産駒の稼ぎ頭はネグラロカ(Negra Loca)という4歳牝馬である。今年だけで12戦して7勝をあげている。その中にはGⅢカルロス・アジェンデ・ナバーロが含まれる。獲得賞金は45,460,000ペソ。これはチリの競走馬全体で9位にランクインする数字である。


 3歳世代では、牡馬のミエレヒード(Mi Elegido)が8月7日のGⅠポージャ・デ・ポトリージョスを優勝した。牝馬のソスヘニア(Sos Genia)は6月26日のGⅠアルトゥーロ・リオン・ペーニャを優勝し、8月7日のGⅠポージャ・デ・ポトランカスでも2着と好走した。チリ全体で前者は11位、後者は19位である。


 チリ競馬の下半期は3歳戦がメインである。GⅠ競走は8つあるが、8つとも3歳限定戦となっている。牡馬でも牝馬でも有力馬を持っているシーキングザダイヤには、一発で大きく稼ぐチャンスがある。


 また、シーキングザダイヤはここまで137勝をあげ、勝利数では種牡馬全体のトップである。産駒数の多さを活かし、ジャブのように下級条件で賞金を積み重ねている。上のクラスでも下のクラスでもコンスタントに賞金を稼げたのが、今年の躍進につながっている。


 対して、ルッキンアットラッキーはなぜ種牡馬リーディングで首位に立っているのだろうか? これは3頭の活躍が大きい。


 4歳牝馬ネヌファルアスール(Nenúfar Azul)はチリのダービーであるGⅠエル・デルビーを勝利した。競走馬の獲得賞金ランキングでは1位に君臨している。ビエホスティエンポス(Viejos Tiempos)はGⅠクルブ・イピコ・デ・サンティアゴを勝利して4位に、ガンベレッティ(Gamberetti)はダービートライアルのGⅡコパ・ジャクソンを勝ち、本番でも3着に入り、18位にランクインしている。


 しかし、ルッキンアットラッキーが上半期と同じように獲得賞金を積み重ねるのは難しいかもしれない。


 まず、ビエホスティエンポスがBCマイル出走のためアメリカに移籍した。これ以上チリで賞金を稼ぐことはできない。


 ネヌファルアスールはダービー直後はGⅡを勝つなど調子を維持していたが、近3走は3, 2, 5着と勝ちきれていない。ガンベレッティに関しては、ダービー3着後は14, 11, 5, 4着と絶不調に陥っている。


 先ほど述べたとおり、下半期は3歳戦の結果がリーディングを大きく左右する。しかし、ルッキンアットラッキーは3歳の有力馬をあまり持っておらず、成績も伸び悩んでいる。その証拠に、2019年世代に絞った種牡馬リーディングを見ると、シーキングザダイヤが168,293,000ペソで5位なのに対し、ルッキンアットラッキーは105,084,750ペソで11位と、5500万ペソもの差がある。ラカタン(Racatán)、 グッドワイン(Good Wine)という重賞馬はいるものの、この世代はミッドシップマン産駒のフォルティーノ(Fortino)、シーキングザダイヤ産駒のミエレヒード(Mi Elegido)、イワンデニーソヴィチ産駒のルナカウティーバ(Luna Cautiva)といった強豪がいるため、重賞・GⅠ勝ちは厳しいだろう。


 勝利数を稼げ、3歳戦での活躍を見込めるシーキングザダイヤと、有力馬が移籍し、3歳戦で苦戦を強いられそうなルッキンアットラッキー。以上のことから、2位のシーキングザダイヤが逆転で首位に躍り出る可能性は高い。


 他の種牡馬の現状と展望も見ておこう。


 3位のジェモロジストと4位のグランドダディーは、どちらも今年は産駒の重賞勝ちがない。ジェモロジストは129勝、グランドダディーは127勝ということを見ると、産駒数と下級条件での勝利でコツコツと賞金を積み重ね、リーディング上位に食い込むタイプであることが分かる。


 同じことが5位のカリフォルニアクロームにも言える。産駒は下級クラスの短距離で走る傾向にある。101勝という勝利数に対し、重賞は1勝と物足りない。残り半年でシーキングザダイヤとルッキンアットラッキーを上回るのは至難の業だろう。


 ルッキンアットラッキーの他にシーキングザダイヤのライバルとなりそうなのが、プラクティカルジョークである。2019年産馬がチリでの初年度、つまり、2022年上半期の2歳戦の成績しかないにもかかわらず、ダートで無類の強さを発揮して112戦42勝、重賞6勝、GⅠ1勝で種牡馬リーディングの9位にランクインしている。勝率37.5%は驚異的である。


 シーキングザダイヤの獲得賞金額とは倍近い差があり、産駒数が少ないことから数打ちゃ当たる戦法に頼ることはできない。おそらく、下半期の3歳ダートGⅠをすべて勝たなければ逆転できないだろうが、すべて勝ってしまう可能性もゼロではない。ジョークシシ(Joke Sisi)、プラクティカキャット(Práctica Cat)、エルオリエンテ(El Oriente)と、牡牝ともに素質馬が控えている。


 シーキングザダイヤがチリの種牡馬リーディングを獲得すれば、2016年以来2度目となる。当時は223勝をあげ、重賞10勝、GⅠ3勝、獲得賞金は10億ペソを超えた。今年はその年に匹敵するペースを維持している。



【まとめ】

・シーキングザダイヤの種牡馬成績が好調。獲得賞金でリーディング2位、勝利数で1位。

・下半期の3歳戦に向けて有力馬を持っている。首位のルッキンアットラッキーを逆転する可能性あり。

・プラクティカルジョークの急上昇がありうる。最大のライバルとなるかもしれない。



■ GⅠアルトゥーロ・リオン・ペーニャ


■ GⅠポージャ・デ・ポトリージョス


■ GⅢカルロス・アジェンデ・ナバーロ



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木下 昂也(Koya Kinoshita)


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