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フォルティーノがダービーを制して32年ぶり史上12頭目のチリ3冠を達成


フォルティーノ(Fortino)
写真:Haras Don Alberto / Rafael Reyes https://twitter.com/hsdonalberto/status/1622438851905032193

 2月5日、チリのバルパライソ競馬場でGⅠエル・デルビー(芝2400m - 3歳)が行なわれた。現地では『最大の挑戦(Máximo Desafío)』と呼ばれるこのレースは、チリのダービーにあたり、チリ3冠競走の最終戦となっている。


 レース前、チリ3冠の初戦であるGⅠエル・エンサージョ(芝2400m - 3歳)で1着入線を果たしたラカタン(Racatán)が、ドーピング違反により正式に失格処分となった。2着入線だった⑧フォルティーノ(Fortino)の繰り上がり優勝が認められ、第2戦のGⅠセントレジャーも勝利しているフォルティーノはチリ3冠に挑むことになった。単勝1.80倍と圧倒的1番人気に支持された。


 7.5倍で2番人気に推されたのがオークス馬の③ママリリー(Mama Lili)である。良馬場では負けなしの5勝をあげており、GⅢパドックSでは牡馬を相手に勝利経験がある。以下、セントレジャーの2着馬でカリフォルニアクローム産駒の⑬ワッポ(Wappo)、前哨戦のGⅡコパ・ジャクソンを快勝した⑤ゲルマニクス(Germanicus)、1勝馬ながらGⅠ・重賞で好走している⑥ルッカ(Lukka)と人気は続いた。



 ⑭アニー(Annie)がハナを切り、②ミエレヒード(Mi Elegido)が2番手につけた。フォルティーノは3番手を進んだが、最初のコーナーで頭を上げるほど引っかかってしまった。有力どころでは、ママリリーが前から4,5頭目あたりの内を進み、ワッポはスタートで出遅れて後方からの競馬を強いられた。


 向こう正面で⑩ネティンナ(Netinna)と⑨ピンタモスエルシエロ(Pintamos El Cielo)が外からポジションを上げて3番手と4番手を取った。落ち着きを取り戻したフォルティーノは5番手に控えた。


 直線に入ると、ミエレヒードが2番手から抜け出して先頭に立った。しかし、オスカル・ウジョア騎乗のフォルティーノが追い出しを開始すると、あっという間に前を捕まえた。フォルティーノは内に切れこみながら末脚を伸ばし、後続の追い上げも封じ、2着に2 1/4馬身差をつける快勝でチリ3冠を達成した。良馬場の勝ちタイムは2分26秒22。


 2着には後方から追い込んだルッカが入った。そこから1 1/2馬身差の3着はオークス馬ママリリーだった。なお、13着と大敗した3番人気のワッポは、ゴール直前で種子骨を骨折して病院に運ばれたとの報道がある。



「エル・デルビーは最高のレース。優勝できて感動している。フォルティーノは素晴らしい馬で、この勝利は彼にふさわしいものである。自分は跨っていただけ。これほどの馬に乗れるのは幸せなことである。何でも簡単にこなせるし、とても賢い馬。自分が騎乗した中でもっとも良い馬だと思っている。この勝利を家族、チーム、友人、応援してくれたファンに捧げたい」と、鞍上のオスカル・ウジョア騎手は述べた。


 フォルティーノを管理するフアン・パブロ・バエサ調教師は「オスカル・ウジョアの騎乗が素晴らしかった。最初の600mで引っかかったが、上手く抑えて馬をリラックスさせてくれた。我々を信頼してこの馬を預けてくれた人々にお礼を言いたい。また、父であるパトリシオ・バエサ調教師にも感謝している。幼いころから競馬の道に進むための道しるべを与えてくれた。今の私があるのも、ダービーというもっとも重要なレースを勝てたのも父のおかげである」と述べた。


 同馬を所有するドン・アルベルト牧場のレーシングマネージャーを務めるパトリシオ・ビアル氏は次のように述べた。「最終的には快勝だったが、道中は不安だった。ダービーの最初のコーナーは極限までに難しい。苦しみを味わわなくて済むダービーなんてないことを改めて実感した。戦前からフォルティーノで堅いと言われていたが、そんなに堅いものではないと思っていた。なぜなら、ダービーだから。勝つのは簡単なことではない。3冠達成はドン・アルベルト牧場にとって最大の実績となった」



 フォルティーノは父ミッドシップマン、母ファレーラス、その父フサイチペガサスという血統の3歳牡馬。2019年8月3日にチリのドン・アルベルト牧場で産まれた。


 2021年12月26日のデビュー戦を白星で飾った。2歳時はGⅠアルベルト・ビアル・インファンテを含む重賞4勝の活躍で世代の頂点に君臨した。戦績は5戦4勝だが、2着に敗れた3戦目のGⅢは1着入線から斜行によって2着降着となったため、5戦いずれも1着入線を果たした。


 3歳時はGⅠポージャ・デ・ポトリージョスで2着、GⅠナシオナル・リカルド・リオンでも2着と躓いた。だが、GⅠエル・エンサージョを繰り上がりで優勝すると、12月3日のGⅠセントレジャーでは久々のダートをまったく苦にせず勝利し、チリ2冠を達成した。今回の勝利でダービー馬の称号を手に入れただけでなく、1991年のウルフ(Wolf)以来32年ぶりとなるチリ3冠という偉業も達成した。通算成績は11戦8勝(重賞7勝)で、連対率100%を誇る。


 チリ3冠を達成した馬は、1885年のカチャポアル(Cachapoal)から1991年のウルフまで11頭いた。フォルティーノは12頭目のチリ3冠馬である。しかし、初期のチリ3冠はサンティアゴ競馬場とバルパライソ競馬場の2場開催であり、セントレジャーがチレ競馬場での開催となった現在の形態で数えれば、ウルフ以来史上2頭目となる。


 また、フォルティーノは1冠目のエル・エンサージョをラカタンのドーピング失格による繰り上がりで勝利している。1着入線馬のドーピング違反で3冠を達成したのは、1951年のエンパイアー(Empire)以来2頭目である。エンパイアーも1950年のエル・エンサージョで2着に敗れたが、1着入線のコンバティエンテ(Combatiente)が後にドーピングで失格となった。その後エンパイアーはエル・デルビーと、当時はバルパライソ競馬場の3000mで行なわれていたセントレジャーを勝利し、チリ3冠を達成した。


 フォルティーノの今後について、同馬の馬主でありドン・アルベルト牧場の代表を務めるカルロス・エジェール氏は「この馬は今すぐにでも外国に行かなければならない」と明かした。移籍先はアメリカが濃厚と見られるが、チリ馬に対する近ごろの流れを考慮すると、香港に売却というプランも考えられる。


 ダービー・デーのバルパライソ競馬場では計27Rが開催された。開催全体の賭け金は15億1546万1144ペソ、ダービーの賭け金は2億2088万6843ペソとなった。いずれも歴代最高金額を更新した。




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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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【Mail】 kinoshita.koya1024@gmail.com

Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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