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チリ競馬史上最高の馬か?ケイアーミーがGⅠセントレジャーを圧勝して無敗でチリ2冠を達成


ケイアーミー(Kay Army)

 12月2日、チリのチレ競馬場でGⅠセントレジャー(ダ2200m - 3歳)が行なわれた。チリ3冠競走の2戦目であり、チレ競馬場4冠競走の最終戦になっている。


 今年は16頭フルゲートでの開催となった。16頭のうち、牝馬は⑩カリッジ(Courage)と⑮リッチ(Richi)の2頭である。


 世代最強馬⑥ケイアーミー(Kay Army)が2.00倍で1番人気に支持された。デビューから8戦8勝で1冠目のGⅠエル・エンサージョ(芝2400m - 3歳)を制しただけでなく、サンティアゴ競馬場で行なわれる4つの3歳GⅠ競走の完全制覇を成し遂げた。芝路線にはもはや敵がいない。初ダート・初左回りを克服して、無敗での2冠制覇を狙う。





 リッチが2.70倍で2番人気となった。牝馬ながら、この馬がダート路線の大将格である。ダートでは6戦5勝・2着1回と無類の強さを誇っている。GⅠタンテオ・デ・ポトランカス(ダ1500m - 2歳牝馬)を6馬身差で勝って2歳ダート女王となり、前走のGⅠアルベルト・ソラーリ・マニャスコ(ダ2000mー3歳牝馬)では10馬身差の圧勝をおさめた。牡馬との対決は今回が初めて。





 単勝オッズ1桁台はこの2頭だけとなった。2頭を追うのがシーキングザダイヤ産駒の③フラテーリラヴィータ(Frateli La Vita)。ケイアーミーがいなければ世代の頂点に立っていた馬である。2着が5度もあり、ケイアーミーとは7回対戦して7敗。舞台がダートに代わってついに逆転なるか。



 コーナーワークで①ビエホロボ(Viejo Lobo)がハナを切った。リッチも外枠から積極的に前に出て2番手につけた。ケイアーミーもまずまずのスタートを決め、3番手という絶好のポジションを確保した。


 直線の手前で、オスカル・ウジョア騎乗のケイアーミーが早くも先頭に立った。直線では後続との差をグングンと広げていき、そのまま6馬身差の圧勝をおさめた。初めての左回りも初めてのダートも、世代の絶対王者にはまったく関係なかった。


 良馬場の勝ちタイムは2分15分41。これはGⅠセントレジャーがダート2200mになった1983年以降で最速のタイムである。1990年にウルフ(Wolf)が出した2分15秒80、2022年にフォルティーノ(Fortino)が出した2分15秒50を上回った。なお、ウルフもフォルティーノも3冠馬に輝いている。


「(最後方から追いこんだ前走のGⅠエル・エンサージョとは異なる戦術だったことを訊かれて……)時計の早い馬場だったので、好位を取りにいった。スタートも良かったし、狙いどおり良いポジションにつけられた。良い勝ち方だった。ダービーでの3冠のこともあるが、まずは今回の勝利を味わいたい。素晴らしいチャンピオン」と、オスカル・ウジョア騎手は述べた。


 オスカル・ウジョア騎手は2009年のクアンリンダ(Cuán Linda)、2013年のラヴリーオーシャン(Lovely Ocean)、2022年のフォルティーノに続き、セントレジャー4勝目となった。また、ケイアーミーを管理するフアン・バエサ調教師は、2008年のメディチ(Medici)、2012年のハッカサン(Hakassan)、2021年にニィケンセ(Ñiquense)、2022年のフォルティーノに続き、セントレジャー5勝目・3連覇を達成した。


 6馬身差の2着には、外から追いこんだ12番人気の⑭シャーク(Shark)が入った。3着にも15番人気の⑯ジャンカルロ(Giancarlo)が入り、ヒモ荒れの結果となった。2番人気のリッチは息切れして8着と大敗。シーキングザダイヤ産駒のフラテーリラヴィータは4着で、対ケイアーミーの成績は8戦8敗となってしまった。



 ケイアーミーは父カトマイ、母ソヴィエトアーミー、その父ピュアプライズという血統の3歳牡馬。2020年8月27日にチリのタオミーナ牧場が生産した。アルゼンチンの牝系に属し、遠戚にはGⅠエストレージャス・ディスタフ(ダ2000m - 3歳以上牝馬)を勝ったソヴィエトキャッチ(Soviet Catch)の名前がある。


 2023年3月17日にデビューすると、デビューから無傷の8連勝でチリ3冠競走の開幕戦GⅠエル・エンサージョを優勝した。それだけでなく、GⅠアルベルト・ビアル・インファンテ、GⅠポージャ・デ・ポトリージョス、GⅠナシオナル・リカルド・リオン、GⅠエル・エンサージョと、サンティアゴ競馬場で行なわれる4つの3歳GⅠ競走の完全制覇を成し遂げた。


 次走はおそらく、2月4日にバルパライソ競馬場で行なわれるチリ3冠競走の最終戦GⅠエル・デルビー(チリ・ダービー)になるだろう。チリ競馬史上13頭目の3冠に加えて、1991年のウルフ以来となる無敗での3冠達成がかかる。


 筆者がチリのメディアに取材したところによると、ケイアーミーには世界中から売却のオファーが届いているという。しかし、馬主のイグナシオ・ウルタード氏とホセ・ウルタード氏はお金を必要としている人物ではないため、売却の可能性はほとんどないとの見方が強い。



Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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