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ドミニカ3冠競走の結果

 2021年のドミニカ3冠競走は6月4日のGⅠマティアス・ラモン・メージャ(ダ1700m)から始まり、2冠目となるGⅠフランシスコ・デル・ロサリオ・サンチェス(ダ1800m)が6月26日、最終戦のGⅠフアン・パブロ・ドゥアルテ(ダ2000m)が7月17日という日程で開催された。場所はいずれもキント・センテナリオ競馬場である。


 GⅠマティアス・ラモン・メージャを優勝したのは、カルロス・デ・レオン騎乗のツナミペ(Tsunami P.)だった。好スタートからハナを切ると、道中は他馬に絡まれることなく軽快な走りを見せ、2着のエレデフォーウェールズ(RD For Wells)に2 1/2馬身差をつける逃げ切り勝ちをおさめた。勝ちタイムは1分46秒20。


 ツナミペは父ドンセバス、母父ジャガーノートという血統のドミニカ産馬。半兄には2020年に3冠を達成したウラカンペ(Huracán P.)がおり、津波(スペイン語:Tsunami)と台風(スペイン語:Huracán)による2年連続での兄弟3冠制覇を期待させる走りとなった。また、2019年もカドーデアルカラー(Cadeau de Alcalá)が3冠を達成しているため、ツナミペには3年連続3冠制覇の権利が与えられた。




 だが、3冠の夢はあっさり潰えた。


 2冠目のGⅠフランシスコ・デル・ロサリオ・サンチェスを勝利したのは、1冠目で2着に敗れたホセ・ロハス騎乗のエレデフォーウェールズだった。7頭立ての5番枠からスタートしたエレデフォーウェールズは、スタートの早かった3頭を前に行かせて4番手の内のポジションを取ると、向こう正面で早くも先頭に立ち、直線でも脚色衰えずに鋭く伸び、2着のブラックマンバ(Black Mamba)に4 1/2馬身差をつける快勝をおさめた。勝ちタイムは1分52秒20。1冠目の覇者ツナミペはゲート入りを渋った影響があったか、3着に敗れた。


 エレデフォーウェールズは父ドンセバス、母父ポリッシュネイヴィーという血統のドミニカ産馬。この勝利で通算成績は11戦3勝となった。父のドンセバスは違う馬での2冠達成となった。




 7月17日、ドミニカ3冠競走最終戦となるGⅠフアン・パブロ・ドゥアルテが行なわれた。1冠目の勝者ツナミペと2冠目の勝者エレデフォーウェールズの対決に注目が集まった。


 しかし、2頭の実績馬を差し置いてまんまと6馬身差の逃げ切り勝ちをおさめたのは、1300mまでしか勝ち鞍のないエスメリン・フスト騎乗のインヘニエロコジャード(Ing. Collado)だった。道中はエレデフォーウェールズとの一騎打ちの様相を呈したが、直線に入ると後続を突き放す一方だった。勝ちタイムは2分4秒60。


 インヘニエロコジャードは父ラーン、母父ギャラントプロスペクターという血統のドミニカ産馬。ここまでの2冠戦はいずれも父も母もアメリカ産馬の馬が制したが、今回は父はアイルランド産馬、母は地元ドミニカ産馬である。2020年8月28日にデビューしてから4戦4勝と無敗を継続しており、これが重賞初勝利だった。




 3歳馬の戦いはこれで終わりではない。12月5日、プエルトリコのカマレーロ競馬場で中米地域最強の3歳馬を決める戦いクラシコ・デル・カリベが行なわれる。


 ドミニカからはツナミペ、エレデフォーウェールズ、インヘニエロコジャードのうち1頭ないし2頭が出走するだろう。3冠競走で2,1,2着と安定した結果を残したエレデフォーウェールズと、最終戦を圧勝したインヘニエロコジャードの選出が濃厚だろう。2008年以来となるドミニカ代表馬による優勝も充分にありえる。



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

Twitter : @koyakinoshita24

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Mail : kinoshita.koya1024@gmail.com

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Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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