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伏兵エルカネイがスペイン最大の競走マドリードを制す


エルカネイ(El Caney)
写真:Hipódromo de La Zarzuela(@HipodromoMadrid) https://twitter.com/HipodromoMadrid/status/1672702892422098947

 6月24日、スペインのマドリードにあるサルスエラ競馬場でリステッド競走マドリード(芝2500m - 3歳以上)が行なわれた。今年で87回目を迎えるスペイン最大の競走である。また、スペインで唯一となるリステッド格が与えられている。


 今年は15頭で争われた。頭数はそろったが、例年に比べるとやや小粒なメンバー構成となった。昨年の覇者メディアストーム(Media Storm)は出走登録をしていたが、状態が万全でないとして回避した。


 ⑫ザゲーム(The Game)が3.5倍で1番人気に支持された。昨年のカテゴリーA競走メモリアル・ドゥケ・デ・トレードでは、最下位人気ながら見事な差し切り勝ちをおさめた。今年に入って連勝中。前走の3000m戦を国内レコードで勝利したように、長距離にはめっぽう強い。


 フランスからの遠征馬である②ベルカンヌ(Berkane)が4.2倍で2番人気に推された。今年はフランスで5戦1勝という成績である。


 7.7倍で3番人気となった⑧リシクレス(Lisicles)は、4月のカテゴリーA競走ドゥケ・デ・アルブルケルケの勝ち馬である。11.0倍の4番人気⑮パンプローナ(Pamplona)は、出走唯一の3歳馬にして唯一の内国産馬である。前走のビリャパディエルナ(スペイン・ダービー)でも2着と好走した。1次登録をしていなかったが、追加登録をして出走してきた。



 2019年のGⅠゴールド・カップで好走した⑨マスターオブリアリティー(Master Of Reality)がハナを切った。⑪セイグッドバイ(Say Godd Buy)が2番手につけ、リシクレスがラチ沿いの3番手を追走した。1番人気のザゲームはいつものように後方で脚を溜めて最後の直線に賭けた。


 逃げたマスターオブリアリティーが直線で後続との差を広げて粘りこみを図った。馬場の中央からは、道中は中団の内でずっと黙っていたエルカネイ(El Caney)が伸び、大外からはザゲームが追いこんできた。この3頭の争いは、アレハンドロ・グティエレス騎乗の8番人気エルカネイに軍配が上がった、良馬場の勝ちタイムは2分36秒39。


「気性の良い馬である。道中を良いリズムで運ぶことができた。最後の150mは素晴らしい伸びだった。この勝利を家族と支えてくれた人々に捧げたい」と、鞍上のアレハンドロ・グティエレス騎手は述べた。スペイン・カンタブリア州出身のグティエレス騎手はこれがマドリード初制覇である。


 エルカネイを管理するのはアルブルケルケ公イオアネス・オソーリオ調教師である。オソーリオ調教師は2011年と2013年のエントレコパス(Entre Copas)、2014年のフリネー(Friné)、2017年のツバル(Tuvalu)に続き、5度目のマドリード初優勝となった。これはサルスエラ競馬場再開場から数えて最多勝利記録である。


 ザゲームはわずかに追いこみ届かず1/4馬身差の2着に敗れた。3着には11番人気のマスターオブリアリティーが粘った。イギリス重賞馬の実力を見せた。



 エルカネイは父ゴールデンホーン、母キティーウェルズ、その父サドラーズウェルズという血統の5歳騙馬。2018年4月11日にイギリスで産まれた。


 2022年1月30日にサン・セバスティアン競馬場でデビューし、6戦目でようやく初勝利をあげた。11月にはスペイン競馬で最長距離のレースである4000mのカテゴリーB競走グラディアトゥールを勝利した。


 今年は4月の2800m戦で始動して6着。前走のカテゴリーB競走コルパでは、レコード勝ちをおさめたザゲームから3 1/4馬身の2着だった。テン乗りだったグティエレス騎手の見事なエスコートもあり、本番で見事に逆転した。通算成績は13戦3勝。





Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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