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イギリス帰りのサムディリヤンが豪脚でイスパニダーを連覇、下半期のスペイン・マイル王に君臨


サムディリヤン(Samedi Rien)
写真:Hipódromo de La Zarzuela(@HipodromoMadrid) https://twitter.com/HipodromoMadrid/status/1712442247088644303

 10月12日、スペインのマドリードにあるサルスエラ競馬場でカテゴリーA競走イスパニダー(芝1600m - 3歳以上)が行なわれた。下半期のスペイン・マイル王を決める戦いである。


 ライク(Raiku)が当日に出走を取り消し、今年は8頭で争われた。


 イギリス遠征から帰ってきたギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬2頭、⑧サムディリヤン(Samedi Rien)と⑦ロダバーリョ(Rodaballo)が帰国初戦を迎える。サムディリヤンには連覇が懸かっている。前者が2.4倍で1番人気、後者が3.5倍で2番人気に支持された。


 6.7倍で3番人気となったのは④リシクレス(Lisicles)。カテゴリーA競走ドゥケ・デ・アルブルケルケ(芝2000m - 4歳以上)の勝ち馬で、前走はバスク州最大の競走であるカテゴリーA競走コパ・デ・オロ(芝2400m - 3歳以上)で2着と好走した。中長距離を主戦場にしている馬が、デビュー戦以来となるマイル戦に挑んできた。


 出走唯一の3歳馬にして牝馬の⑨グレーインフィニティー(Grey Infinity)が7.2倍で4番人気となった。サン・セバスティアン競馬場のカテゴリーA競走ゴビエルノ・バスコ(芝1600m - 3歳以上)を勝ってバスク州のマイル王となった。マドリード初戦となった前走で4着に敗れており、状態が気になる。





 ②フリオーソ(Furioso)がハナを切った。リシクレスが2番手につけ、グレーインフィニティーがその後ろに続いた。注目のサムディリヤンとロダバーリョは、2頭とも最後方で脚を溜めた。


 直線に入ると、粘るフリオーソを外からリシクレスが交わして先頭に立った。このままリシクレスで勝負ありかと思われたが、大外に持ち出されたヴァーツラフ・ヤナーチェク騎乗のサムディリヤンが、最後尾からとてつもない末脚で伸びてくると、直線だけですべての馬をごぼう抜きして優勝した。良馬場の勝ちタイムは1分36秒97。


「自分は何もやっていない。ただロダバーリョの後ろで馬を落ち着かせていただけ。ほぼすべてサムディリヤンがやってくれた。難しいことをするつもりはなく、直線でゴーサインを出したら簡単に勝ってくれた」と、鞍上のヤナーチェク騎手は振り返った。


 1 1/4馬身差の2着には、馬群の真ん中から追いこんだロダバーリョが入った。結局、アリスコレータ調教師が管理するイギリス遠征帰りの2頭が実力を示した。ロダバーリョからクビ差の3着がリシクレスだった。1,2,3番人気による順当な決着となった。


 なお、この勝利でギリェルモ・アリスコレータ調教師は通算900勝を達成した。12日は1R・3R・5Rと3勝をあげた。




 サムディリアンは父ベイテッドブレス、母パンタイル、その父ピヴォタルという血統の4歳牝馬。2019年4月30日にアイルランドのハイド・パーク・スタッドで産まれた。


 2021年6月21日にフランスでデビューし、デビュー2連勝を飾った。フランスでは5戦3勝という成績を残した。


 2022年からスペインのイェグアーダ・ロシーオに所有が移り、ギリェルモ・アリスコレータ調教師の管理馬となった。その年のゴビエルノ・バスコとイスパニダーを制し、スペイン屈指のマイラーとしての地位を固めた。


 2023年は年明けからドバイに遠征。2月3日のGⅡケープ・ヴァーディで3着と好走した。8月からはイギリスに遠征したが、ポンテフラクト競馬場のリステッド競走で3着が最高だった。今回のイスパニダーが帰国初戦だったが、目の覚めるような末脚を披露し、2016年・2017年とこのレースを勝ったアルモロクス(Almorox)以来となる連覇を達成した。




Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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