
木下 昂也(Koya Kinoshita)
GⅠムーテ・マイルはイクセシヴフォースが差し切り勝ち。怪物アトミカは自身の脆さに散る

写真:Quickgallop.com https://www.quickgallop.com/watch-excessive-force-win-the-mouttet-mile-sat-dec-3-2022-11th/

12月3日、ジャマイカのケイマナス・パーク競馬場でGⅠムーテ・マイル(ダ1600m - 3歳以上)が行なわれた。今年から新設されたGⅠ競走であり、賞金総額は英語圏カリブ地域最高となる1740万ジャマイカ・ドルである。
16頭立てとなった。今年のジャマイカ2冠馬であり、前走のGⅠジャマイカ・カップを16馬身差で逃げ切った怪物牝馬⑦アトミカ(Atomica)が 4/5 という圧倒的な1番人気に支持された。能力が図抜けているのは誰の目にも明らかである。
GⅠゴールド・カップの勝ち馬③マホガニー(Mahogany)、GⅠ2勝のアメリカ産馬④ジョーダンレインズ(Jordon Reign's)、2021年のダービー馬⑪キャルキュラス(Calculus)、2020年のダービー馬⑭キングアーサー(King Arthur)、GⅠセントレジャーでアトミカを破った⑯ブルーヴァイニル(Blue Vinyl)と、ジャマイカの現トップホースが集結した。
大外枠のブルーヴァイニルが出遅れて後方からの競馬を強いられた。発馬直後は4頭ほどがハナをうかがったが、内からマホガニーが先頭に立った。その外にぴったりと⑥ランアウェイアルゴ(Runaway Algo)がつけ、さらにその外にアトミカが並んだ。
3コーナーを過ぎたあたりでアトミカの手ごたえが悪くなった。鞍上のデーン・ドーキンス騎手が必死に促すが、前走のような反応は見られない。4コーナーで大きく外に膨らんでしまい、レースから完全に脱落した。
逃げたマホガニーは直線半ばまで先頭を走っていたが、道中は中団の内で脚を溜めていたベベト・ハーヴェイ騎乗の⑩イクセシヴフォース(Excessive Force)が最内から抜け出すと、前を楽に交わして勝利した。良馬場の勝ちタイムは1分41秒0。
2着にはほとんど最後尾から追い込んできた人気薄のデューク(Duke)が入り、3着も後ろから末脚を伸ばしたジョーダンレインズだった。1着から順に 7/1、73/1、20/1 という波乱の追い込み決着となった。
アトミカは9着と惨敗した。レース前、陣営は「OKな枠順だが、本音を言えば13から16の外枠が欲しかった」と枠順を気にしていた。これまでも他馬からプレッシャーをかけられると脆い面は見せており、陣営の不安が的中してしまった。
イクセシヴフォースは父ブロークンヴァウ、母フィーヴァードキス、その父スマートストライクという血統の5歳牡馬。2017年5月13日にアメリカで産まれ、2019年のセールで1万6000ドルでジャマイカのHAMステーブルズに購入された。
2020年10月11日にデビューし、3戦目で初勝利をおさめた。4歳まではアローワンス戦で勝ったり負けたりを繰り返す馬に過ぎなかったが、5歳となった今年4月23日のGⅠヴァイスロイ・トロフィーで重賞初制覇を飾った。前走のGⅠポート・ロイヤル・スプリントも見事な差し切りで勝利。今回の勝利でGⅠ3勝目となった。
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