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南米選手権のガルフストリームパーク競馬場開催案が破談、開催不可能の危機に瀕する

 南米諸国が代表馬を選出して競い合うため『競馬の南米選手権』とも呼ばれるGⅠラティーノアメリカーノは、南米競馬機構(OSAF)の主催で開催されている。OSAFは2014年からロンジンとスポンサー契約を結び、GⅠラティーノアメリカーノは『ロンジン・グラン・プレミオ・ラティーノアメリカーノ』として南米大陸最高賞金レースとなった。


 しかし、2024年以降の南米選手権が開催続行の危機に瀕している。


 今年7月、2023年にアルゼンチンのサン・イシドロ競馬場で行なわれる南米選手権を最後に、ロンジンがメインスポンサーを降りることが決まった。そのため、2024年以降の開催は、新たなスポンサーを見つけられなければ、南米選手権の開催に関わるすべての費用をOSAFが負担しなければならない。だが、ロンジン級の高額賞金レースを開催し、出走馬の輸送費などを負担する資金力はOSAFにはない。





 そこで、OSAFは驚くべき計画を練った。アメリカのガルフストリームパーク競馬場を所有するアメリカの『ストロナック・グループ(Stronach Group)』の援助を受け、2024年4月にガルフストリームパーク競馬場で南米選手権を開催するというものである。





 しかし、アルゼンチンの競馬メディア『トゥルフ・ディアリオ(Turf Diario)』によると、OSAFに加盟しているいくつかの国がアメリカ開催に反対した。そのため、この計画はあっさりと破談になった。


「このテーマについて南米競馬機構内で議論した。いくつかの加盟国が反対を示したことにより、ストロナック・グループも計画から外れることを選んだ。アメリカでの検疫期間を7日間から3日間に短縮することについても、加盟国内でアメリカ開催への反対意見が出ている状況で、アメリカ側がこれ以上労力を費やしたくないと考えた」と、OSAFのオラシオ・エスポーシト副会長は明かした。



 ストロナック・グループの支援を受けられなくなったため、OSAFは新たな開催地とメインスポンサーを再び探さなければならない。


 開催地については、ペルーのモンテリーコ競馬場が正式に立候補している。チリのバルパライソ競馬場も名乗りをあげているが、正式な立候補はまだである。しかし、肝心のスポンサーが見つからなければ、開催そのものがほとんど不可能である。


 南米選手権が現在の高いレベルを維持できているのは、輸送費の援助と高額賞金あるからである。それがスポンサー不足により丸ごとなくなれば、各国の陣営は遠征を嫌い、南米選手権は開催地の馬たちによる内輪の競走と化す。それはもはや『競馬の南米選手権』ではない。



Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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