
木下 昂也(Koya Kinoshita)
メキシコの新星スーペルイボンヌはネクスト・レトルスカになれるか?

写真:hipodromomex(@hipodromomex) https://twitter.com/hipodromomex/status/1530432739245232129
レトルスカ(Letruska)は2018年10月26日にメキシコのラス・アメリカス競馬場でデビューした。2019年にメキシコ牝馬2冠を達成すると、同年12月にアメリカのガルフストリームパーク競馬場で行なわれたインビタシオナル・デル・カリベを優勝して中米・カリブ海地域の最強馬となった。アメリカを主戦場としたその後の活躍を述べる必要はないだろう。レトルスカはメキシコから羽ばたいた馬である。
今、メキシコにレトルスカと同じ道を歩もうとしている馬が現れた。それがスーペルイボンヌ(Súper Ivonne)である。
スーペルイボンヌは父プロトニコ、母ディーサディーヴァ、その父ハリーザハットという血統の3歳牝馬。2019年4月13日にアメリカで産まれた。2020年のケンタッキー・オクトーバー・セールでドン・ファウスト・レーシングに4000ドルで落札され、メキシコのテワンテペクの所有となった。管理するのはフアン・イグナシオ・シルバ調教師である。
2021年9月11日、ラス・アメリカス競馬場で行なわれたGⅢデブタンテス(ダ1200m - 2歳牝馬)でデビューすると、これを7 1/2馬身差で勝利した。次走のGⅡグラン・プロメサ(ダ1400m - 2歳牝馬)を3 3/4馬身差、3戦目のGⅡレアB(ダ1600m - 2歳牝馬)も6馬身差の快勝をおさめ、12月11日に行なわれたGⅠカンペオナート・フベニール(ダ1700m - 2歳牝馬)では、2着に11馬身差をつける圧勝でメキシコの2歳女王に輝いた。
2022年5月27日、スーペルイボンヌは特別競走オリーナ(ダ1500m - 3歳牝馬)で3歳初戦を迎えた。およそ半年ぶりのレースだったが、主戦のハビエル・マティアス騎手を背にここでも2着に12 1/2馬身差をつける大勝をおさめた。通算成績は5戦5勝。5戦でつけた着差の合計は40 3/4馬身差と、同世代にもはや敵はいない。
2022年のメキシコ牝馬3冠競走は、5月28日にGⅡルビー(ダ1500m - 3歳牝馬)、6月25日にGⅠエスメラルダ(ダ1600m - 3歳牝馬)、7月23日にGⅠディアマンテ(ダ1700m - 3歳牝馬)という日程で行なわれる。しかし、1冠目のGⅡルビーはメキシコ産馬限定であるため、スーペルイボンヌには出走資格がない。
しかし、2冠目のGⅠエスメラルダ、3冠目のGⅠディアマンテでは外国産馬の出走が認められており、スーペルイボンヌも次走はエスメラルダを予定しているとのことである。今年は内国産馬に目ぼしい馬がいないので、牝馬2冠を楽々と達成できるだろう。
本来ならメキシコ調教馬の最大目標は12月の中米・カリブ海シリーズなのだが、今年はアメリカのガルフストリームパーク競馬場でもプエルトリコのカマレーロ競馬場でもなく、ベネズエラのラ・リンコナーダ競馬場で開かれることが9割方決まっている。陣営がベネズエラ遠征を嫌えば、早期のアメリカ挑戦という目も充分にある。
※ベネズエラはプエルトリコ開催となった昨年の中米・カリブ海シリーズで惨敗し、腹いせのようにプエルトリコの運営を激しく非難し、早々に自国での開催に立候補した。ただでさえ有利な地元開催に加えて、あの手この手を使ってくることが予想される。
レトルスカとファウスト・グティエレス調教師は、メキシコ調教馬でも世界のトップに立てることを証明した。スーペルイボンヌはレトルスカと同じ道を辿り、ネクスト・レトルスカとして羽ばたくことができるだろうか。
■ GⅢデブタンテス
■ GⅡグラン・プロメサ
■ GⅡレアB
■ GⅠカンペオナート・フベニール
■ オリーナ
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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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