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ウェリントンがGⅠポージャ・デ・ポトリージョスを快勝、殺害された父ザルーテナントはGⅠ初勝利


ウェリントン(Wellington)
写真:De Galope Largo / José Luis De La Cruz https://degalopelargo.com/contenido/1868/wellington-gano-la-polla-de-potrillos-g1

 9月10日、ペルーのモンテリーコ競馬場でGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)が行なわれた。このレースはペルーの2000ギニーにあたり、ペルー4冠競走の初戦になっている。


 2023年8月末に開かれた南米競馬機構(OSAF)の会議により、ポージャ・デ・ポトリージョスは来年からGⅡへの降格が決まった。したがって、GⅠとして開催されるのは今年が最後となる。






 今年は10頭で争われた。前哨戦を4馬身差で快勝して本命視されていたアグナール(Agnar)は、膝の骨折によって戦線離脱を強いられた。


 また、ドルトールマテオ(Dr. Mateo)も熱発で直前回避となった。デビュー戦を5馬身差、2戦目を4馬身差で快勝、前走の前哨戦でもアグナールの2着と、有力馬の1頭と見なされていた。


 2頭の離脱でいっきに大混戦と化した中、ウェリントン(Wellington)が1番人気に支持された。ここまで3戦2勝だが、敗れたレースは落馬競走中止によるものなので、実質無敗と言える。前走の条件戦を2 1/2馬身差で勝ってここに臨む。



 ①ウラカンガルシーア(Huracán García)がハナを切ろうとしたが、⑤エリアススライプ(Elias Sripe)が抵抗して先頭に立った。大外から⑪マスアジャデルエクシト(Más Allá Del Éxito)が2番手を追走し、ウェリントンも前から3,4頭目という好位につけた。


 3コーナー付近で、マスアジャデルエクシトが早めに前を交わして先頭に躍り出た。同馬は直線半ばまで粘ったが、馬場の中央から伸びてきたウベル・ボカネグラ騎乗のウェリントンがこれを楽に差し切って快勝をおさめた。良馬場の勝ちタイムは1分39秒45。


 鞍上のウベル・ボカネグラ騎手は、9月3日に行なわれたGⅠポージャ・デ・ポトランカス(ダ1600m - 3歳牝馬)もレインエリザベス(Raine Elizabeth)で勝利しており、これで1000/2000ギニー連勝となった。





 3 1/4馬身差の2着には、中団から末脚を伸ばした②フォンブラウン(Von Braun)が入った。マスアジャデルエクシトは最後に失速して3着だった。



 ウェリントンは父ザルーテナント、母ウィン、その父ヨハネスブルグという血統の3歳牡馬。2020年8月13日にペルーのバルロベント牧場で産まれた。


 2023年2月26日のデビュー戦を3 1/2馬身差で快勝。2戦目はスタート直後の落馬で競走中止となったが、前走7月8日の3戦目では2 1/2馬身差の勝利をおさめた。


 実質無敗のままGⅠポージャ・デ・ポトリージョスに挑んだ。有力馬不在という運にも恵まれ、見事に4冠競走の初戦を優勝した。通算成績は4戦3勝(重賞1勝)。


 父のザルーテナントはアメリカ3冠馬ジャスティファイの半兄という良血馬である。2019年にシャトル種牡馬としてバルロベント牧場で供用されていた。しかし、同年12月22日、牧場に食肉目当ての強盗が侵入し、サイラスアレクサンダー(Cyrus Alexander)、タイムリーアドヴァイス(Timely Advice)、カンフーマンボ(Kun Fu Mambo)と共に殺害されてしまった。そのため、ペルーでの産駒は2020年産馬の1世代しかいない。


 9月3日のGⅢミゲル・フォート・マゴット(芝1600m - 3歳牝馬)でプライム(Prime)が勝利し、ザルーテナント産駒は重賞初勝利をおさめた。2週連続の重賞制覇で、嬉しい産駒のGⅠ初勝利を飾った。




Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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