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2冠馬が除外となった波乱のGⅠデルビー・ナシオナルはポセイドンが逃げ切り勝ち


ポセイドン(Poseidón)
写真:De Galope Largo / José Luis De La Cruz https://degalopelargo.com/contenido/2381/poseidon-se-llevo-el-derby-nacional-g1

 11月19日、ペルーのモンテリーコ競馬場でGⅠデルビー・ナシオナル(ダ2400m - 3歳)が行なわれた。ペルー4冠競走の3戦目であり、ペルーのダービーにあたる。


 今年は12頭で争われた。


 ⑨ウェリントン(Wellington)が1番人気に支持された。1冠目のGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)、2冠目のGⅠリカルド・オルティス・デ・セバージョス(ダ2000m - 3歳)を制して2冠を達成。2021年のスーペルナオ(Súper Nao)、2022年のパラディグマ(Paradigma)に続く3冠に挑む。





 僅差の2番人気には⑪フォンブラウン(Von Braun)が続いた。前走のリカルド・オルティス・デ・セバージョスでは、王者ウェリントンをハナ差まで追いつめた。ここまでの2冠はいずれも2着。せめてダービー馬の称号は欲しい。


 牝馬の④ジェンカーラ(Yencala)は、GⅠエンリケ・アジューロ・パルド(ダ2000m - 3歳牝馬)を豪快な追いこみで優勝した。牡馬を倒してダービー馬となれるか。





 スタート直前にまさかの事態が起こった。順調に枠入りが行なわれていたところで、モンテリーコ競馬場の放送が停止。放送が再開されたときには、なんとウェリントンが競走除外となっていた。おそらく、ゲート内で何らかのアクシデントが発生したものと思われる。


 ③ポセイドン(Poseidón)がハナを切った。半馬身差の2番手に⑤エルメン(El Men)がつけた。ウェリントンの除外によって急遽1番人気に繰り上がったフォンブラウンは、前から4,5番手を確保した。


 直線に入ると、粘りこみを狙うポセイドンを、外からフォンブラウンが猛追した。残り200m地点ではこの2頭による一騎打ちとなったが、この争いをエドウィン・タラベラーノ騎乗のポセイドンが半馬身差で振り切って勝利した。良馬場の勝ちタイムは2分34秒47。


 鞍上のエドウィン・タラベラーノ騎手は、2002年のキアーナ(Kiana)、2010年のファヒードジュニア(Fahed Jr)、2018年のアンチェロッティ(Ancelotti)、2019年のバロンロホ(Barón Rojo)に続き、5度目のダービー勝利となった。


 ウェリントンが除外となってまたとないチャンスを得たフォンブラウンだったが、半馬身差およばずの2着だった。これで、1冠目・2冠目・3冠目いずれも2着となってしまった。2着から8 1/2馬身も離れた3着は牝馬の⑦ラアバデーサ(la Abadesa)だった。



 ポセイドンは父ザルーテナント、母ストームステフィ、その父マインシャフトという血統の3歳牡馬。2020年10月31日にペルーのランチョ・ファーティマ牧場で産まれた。10月31日産まれの馬がペルーGⅠを優勝するのは初めてである


 父のザルーテナントはウェリントンの父でもある。そのため、ウェリントンでGⅠポージャ・デ・ポトリージョスとGⅠリカルド・オルティス・デ・セバージョスを、ポセイドンでGⅠデルビー・ナシオナルという3冠を達成した。


 2023年2月26日にデビューし、2戦目で初勝利をあげた。重賞勝ちなどの目立った戦績はなく、前走10月15日の条件戦でようやくキャリア2勝目をあげたが、1着馬の斜行による繰り上がり優勝だった。


 実績不足のため今回は伏兵扱いだったが、ウェリントンが除外となるまさかのアクシデントを活かし、見事に2023年のペルー・ダービー馬の座を手に入れた。通算成績は7戦3勝(重賞3勝)。





Koya Kinoshita

スペイン語通訳

スペイン競馬と中南米競馬を隅々まで紹介&徹底解説する『南米競馬情報局』の運営者です。

全国通訳案内士というスペイン語の国家資格を所持しています。

東京在住のインドア派。モスバーガーとミスタードーナツが好きです。

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