• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

【解説】アルゼンチン・スタッドブックの基本的な使い方

アルゼンチンのスタッドブック(https://www.studbook.org.ar/)は、その豊富な情報と検索のしやすさのため、世界有数の競馬データベースとなっています。特別な登録は不要で、誰でも無料で利用できます。


しかし、スペイン語という壁があるため、使いこなすのは難しいかもしれません。そこで今回は、スペイン語をまったく知らない人でも利用できるように、アルゼンチン・スタッドブックの基本的な使い方を解説します。

 

目次

 


■ 競走馬を検索する


アルゼンチン・スタッドブックにアクセスすると、右上に虫眼鏡のマークがあります。ここを押すと「馬を検索する(BUSCAR EJEMPLAR)」という検索欄が表示されます。検索欄に調べたい馬の名前を入力し、候補の中から選択してください。


このとき、スペイン語の特殊文字 "ñ" に注意してください。たとえば、"Miriñaque" という馬は Equibase などでは特殊文字を排除して "Mirinaque" と表記されますが、アルゼンチン・スタッドブックでは正しく "Miriñaque" と入力しないと検索されません。


アルゼンチン・スタッドブック

馬を選択すると、その馬のプロフィールページに遷移します。左側が生年月日や性別などの基本プロフィールです。青色が牡馬で、赤色が牝馬を示します。生年月日は「日 / 月 / 年」の順番なので注意してください。その下にマイクロチップなどの項目がありますが、あまり関係ないので飛ばして大丈夫です。"Lugar Nacimiento" は「産まれた場所」、"Criador" は「生産者」です。


右側には血統表が表示されます。馬名を選択すると、その馬のプロフィールページに飛ぶことができます。血統表の下にある3つ並んだボタンの一番右 "Pedigree Desarrollado" からはブラックタイプを閲覧できます。


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"EXPORTACIÓN / IMPORTACIÓN" は輸出入の記録です。"EXPORTADO" が「輸出」で、"IMPORTADO" が「輸入」になります。記録が複数ある場合は、右上の "HISTORIAL" というボタンを押すと履歴が表示されます。


輸出記録に関して注意してほしいのが、アルゼンチンを出発して次の到着国が記載されるということです。たとえば「アルゼンチン ⇒ アメリカ(経由) ⇒ 日本」の場合は日本と表記されますが、「アルゼンチン ⇒ アメリカ(ここで空港から出て種付けする) ⇒ 日本」 の場合はアメリカと表記されます。


輸出入の右側にある "PRÓXIMAS CARRERAS" は「次走予定」です。出走登録のある馬に関してはレース情報や騎手が表示されますが、出走予定のない馬や引退馬の場合は何も記載がありません。


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"CAMPAÑA" ではその馬の競走成績が表示されます。ただし、アルゼンチン国内での成績のみです。左にボタンが2つあります。"EDAD" では年齢別の出走成績が、"AÑO" に切り替えると西暦別の出走成績が表示されます。


表を見ていきましょう。"CC" が出走回数になります。1着から5着までの回数が表示され、6着以下は "NP" としてまとめられます。"CLC / CLG" というのは特別競走における出走回数と勝利数、"CLCG1 / CLGG1" はGⅠ競走における出走回数と勝利数です。"Importe" は獲得賞金額になります。


その下の表は条件別出走成績になります。"DISTANCIA" が距離別、"PISTA" が馬場別、"ESTADO" が馬場状態別の成績で、選択して切り替えが可能です。馬場は"Cesped" が「芝」、"Arena" が「ダート」です。馬場状態は "Normal" が「良馬場」、"Pesada" もしくは "Humeda" 「重馬場」を意味します。


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"CARRERAS" は全競走成績の詳細になります。ここもアルゼンチン国内での出走記録しか表示されないので注意してください。表の見方は下の画像をご覧ください。


日付をクリックするとレース詳細に遷移します。全着順やオッズ、レース映像などを閲覧できます。"Caballeriza" が「馬主」、"Cuidador" が「調教師」となり、矢印マークで切り替え可能です。


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ページ最下部にある "SERVICIOS / PRODUCCION" では繁殖成績が表示されます。その馬が種牡馬か繁殖牝馬になった場合、ここに記録がつけられます。


種牡馬の場合、"Temporada" が「シーズン」、"Haras" が「供用地」、"Servicio" が「種付け数」、"Nacimiento" が「出産頭数」となります。


シーズンでは西暦の横に 1 もしくは 2 という数字がついています。1 は上半期を、2 は下半期を示します。アルゼンチンは南半球なので、ほとんどの場合 2 となります。


出産頭数は翌年の産駒数になります。たとえば、下の画像の2020年の項目を見ると、種付け回数が「176」、出産頭数が「138」となっていますが、これは2020年に176回種付けし、2021年に138頭産まれたということを意味します。2021年の産駒数が30なのは、2022年産まれの産駒が集計途中であるためです。


繁殖牝馬の場合、"Padrillo" が「種付けされた種牡馬」、"Producto" が「産駒」になります。()内は性別・毛色・生年月日で、馬名を選択するとその馬のプロフィールページに遷移します。不受胎の場合は馬名ではなく "VACIO" と表示されます。"Criador" は「生産者」、"〇〇 Servicio" には「最初に種付けされた日付(1er)」と「最後に種付けされた日付(Ultimo)」の両方が記載さます。


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■ リーディングを調べる


アルゼンチン・スタッドブックのホーム画面から、"ESTADÍSTICAS" を選択してください。これは日本語で「統計」という意味です。リストの一番上に "GENERALES" があるので、このページに飛びましょう。


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○○年□□月△△日~●●年■■月▲▲日から、統計を検索したい期間を設定してください。上限は3年間です。「2018年1月1日~2021年12月31日」は検索できますが、「2017年1月1日~2021年12月31日」と設定するとエラーになってしまうので気をつけてください。


ページを開いたときの表示は種牡馬リーディングになっています。"Por tipo" からリーディングの種類を選ぶことができます。主なところでは、"Padrillo" が「種牡馬リーディング」、"Abuelo Materno" が「母父リーディング」、"Criador" が「生産者リーディング」、"Jockey" が「騎手リーディング」です。


条件をすべて入れたら、緑の虫眼鏡マークをクリックしてください。選択した期間内と種類でのリーディングが下に表示されます。デフォルトの順位は獲得賞金順です。


今回は種牡馬リーディングで表を解説します。馬名を選択するとその馬のプロフィールページに遷移します。馬名の右に下矢印がありますが、これを押すと活躍している産駒 TOP5 が表示されます。


"GEN" は「競走年代に達している世代数」、"Premios" は「獲得賞金額(ペソ)」、"HC" は「出走した頭数」、"HG" は「勝利した頭数」、"CC" は「出走回数」、"CG" は「勝利数」、"CL" は「特別競走における成績」、"G1" は「GⅠ競走における成績」になります。


順位は項目を押すことで並び変えられます。2回押すと昇順と降順が入れ替わります。つまり、赤色表示が多い順、緑色表示が少ない順です。


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■ 便利な血統検索


アルゼンチン・スタッドブックのホーム画面から、"ESTADÍSTICAS" を選択してください。下から3つ目に "POR PEDIGREE" があります。


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このページに進むと、空白の3代血統表が表示されます。各欄には種牡馬と繁殖牝馬を入力できます。入力して検索すると、その組み合わせの血統を持つ馬がすべて抽出されます。


たとえば、父の欄に "Hat Trick"、母父の欄に "Bernstein" と入力し、右下にある緑色の虫眼鏡を押して検索します。すると、父ハットトリック、母父バーンスタインという組み合わせを持つ馬と、その組み合わせの競走成績が表示されます。


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今回の場合は、「父にハットトリックを、母父にバーンスタインを持つ馬はアルゼンチンで48頭産まれた。36頭が出走し、28頭が勝ち上がった。12頭は未出走。特別競走の勝ち馬は5頭おり、うち4頭が重賞馬。GⅠ馬は2頭いる」という表示になっています。


その左下には2つの切り替えボタンがあります。"CORRIERON" だと競走馬としてデビューした馬がすべて表示され、"NO CORRIERON" だとデビューしなかった馬が表示されます。馬名を選択するとその馬のプロフィールページに遷移します。


表の見方については、『競走馬を検索する』で紹介しているので、そちらを参考にしてください。"CC" が出走回数、"1º" が1着ということを覚えておけば OK です。


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■ 日程と出馬表


アルゼンチン競馬の開催日程を調べたい場合は、アルゼンチン・スタッドブックのホーム画面から、"REUNIONES" の "CALENDARIO" を選択してください。"CALENDARIO" は「カレンダー」のことです。


以下の画像がそのページになります。画面上部にあるリストの中から月と年を選んでください。一番上の "Enero" が「1月」で、一番下の "Diciembre" が「12月」という順番です。スペイン語の月名は英語と似ているので、あまり迷うことなく選べると思いますが、分からない場合は上から数えれば大丈夫です。希望の月と年を設定したら、緑色の "Ir" というボタンを押しましょう。


日付を選択すると開催画面に移り、その日に行なわれる予定の全レースの出馬表が表示されます。過去のレースの場合はレース結果が表示されます。


月年の選択欄とカレンダーの間に "Clásico del mes" というボタンがあります。これを押すと、その月に開催されたリステッド・重賞競走の一覧が表示されます。レース名を選ぶとそのレースの詳細ページに遷移します。


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続いて、出馬表の見方を解説します。


レース番号は基本的に青色です。赤色になっているレース番号は、特別競走や重賞競走といった大事なレースを示しています。


青字に白抜きの部分は、レース番号(〇 Carrera)と発走時刻を表します。日本とアルゼンチンの時差は12時間で固定なので、アルゼンチンの14:00は日本の02:00です。


その下にはレース名、距離、出走条件などが書かれています。出走条件を意味する "Condicion" のところに "Perdedores" と書かれていれば「未勝利戦」です。"Ganadores de 〇 carreras" と書かれていれば「〇勝クラス」となります。"Premios" はレース賞金についてです。


出馬表は左から『近8走の着順』『馬番』『馬名』『性別』『毛色』『馬齢』『騎手』『斤量』『調教師』『馬主』『通算成績』となっています。近8走の数字の部分を押すと、そのレースの詳細ページに飛ぶことができます。もちろん、馬名を選べばその馬のプロフィールページに遷移します。性別は "H" が牝馬、"M" が牡馬です。英語とは反対なので気をつけてください。


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いかがでしたか? 今回はアルゼンチン・スタッドブックを利用した『馬の検索方法』『リーディングの検索方法』『便利な血統検索』『開催日程の調べ方』の4点について解説しました。情報量が豊富というだけでなく、検索しやすいように導線が練られているので、非常に便利なデータベースとなっています。アルゼンチンの馬について調べたいときはぜひ活用してください。


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