• 木下 昂也(Koya Kinoshita)

競馬の南米選手権GⅠラティーノアメリカーノの出走馬が確定


出馬表:OSAF https://www.osafweb.com.ar/en/2021/10/09/longines-gran-premio-latinoamericano-2021-the-runners/

 10月24日にウルグアイのマローニャス競馬場で行なわれるGⅠラティーノアメリカーノ(ダ2000m - 3歳以上)の出走馬が、南米競馬機構(OSAF)から発表された。このレースは、毎年異なる国の競馬場に、各国が選出した代表馬が集まって開催される。そのため、競馬の南米選手権と呼ばれることがある。


 本来は毎年3月に開催される。今年のラティーノアメリカーノも3月にペルーのモンテリーコ競馬場で開催される予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、開催を10月に延期。開催地も比較的感染状況の落ち着いているウルグアイに変更となった。


 今年は13頭が出走を予定している。内訳は、アルゼンチン3頭、チリ3頭、ウルグアイ3頭、ペルー3頭、ブラジル1頭である。以下、各国の代表馬を簡単に紹介する。



アルゼンチン代表(3頭)


◆ ヴィレッジキング(Village King)


 キャンパノロジスト産駒の7歳牡馬。2017年のGⅠジョッキークルブ(芝2000m - 3歳)を優勝した。翌年からアメリカに移籍し、アケダクト競馬場のリステッド競走レッド・スミスS(ダ1800m - 3歳以上)を勝利した。2020年にアルゼンチンに帰国。アルゼンチン復帰後は6戦4勝、とりわけ今年に入って3戦3勝(GⅠ2勝)と絶好調である。


【ポイント】

優勝候補。衰えも見られない。アメリカでダートのレースを勝利しているが、基本的には芝専門の馬。馬場をこなせるかどうかが鍵になる。



◆ ミリニャーケ(Miriñaque)


 ハリケーンキャット産駒の5歳牡馬。2019年にGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)GⅠナシオナル(ダ2500m - 3歳)を優勝して2冠馬となり、その年のアルゼンチン年度代表馬に選出された。地元サン・イシドロ競馬場で開催された昨年のラティーノアメリカーノでは2着だった。その後、アメリカとサウジアラビアに遠征した。GⅡサラブレッド・アフターケア・アライアンスS(ダ2600m - 3歳以上)で2着になったが、1度も勝利をあげられず、今年6月にアルゼンチンに復帰した。


【ポイント】

海外遠征ではアメリカの強豪の壁に阻まれたが、南米では間違いなく実力上位。外国馬としてウルグアイに1番乗りし、やる気充分。



◆ サンディーノルーラー(Sandino Ruler)


 ローマンルーラー産駒の6歳牡馬。この馬も北米からの復帰馬となる。2019年9月にGⅢイタリア(ダ2000m - 4歳以上)を10馬身差で圧勝し、その後アメリカのイグナシオ・コレーアス調教師の下に移籍した。6戦したがいずれも惨敗に終わった。今年7月にアルゼンチンに戻ってからは3連勝と復調気配を見せている。鞍上のフアン・ノリエガ騎手も頼もしい。


【ポイント】

3連勝中だが、戦ったメンバーのレベルに疑問が残る。有力馬の1頭ではあるが、上記2頭を上回れるとは思えない。





チリ代表(3頭)


◆ ウィンヒアー(Win Here)


 ブレスレスストーム産駒の8歳牡馬。最後方からの強烈な追い込みを武器に、これまで54戦22勝、GⅠ2勝を含む重賞10勝をあげた古豪である。2018年9月からダート戦に限れば1度も3着以内を外していない。2019年に地元サンティアゴ競馬場で行なわれたラティーノアメリカーノ(芝2000m - 3歳以上)に出走したが、このときは芝での開催だったため8着に敗れた。昨年も芝だったため出場せず。ダートになる今年の開催は絶好のチャンスだ。


【ポイント】

良くも悪くも追い込み専念の馬。展開がハマれば1発あるかもしれないが、近3走は不発続き。年齢的な衰えか?



◆ レダビダ(Le Da Vida)


 ジェモロジスト産駒の4歳牝馬。出走唯一の牝馬となる。2020年9月のデビュー戦を18 1/4馬身差で圧勝したことで注目された。GⅠセントレジャー(ダ2200m - 3歳)では牡馬を相手に2着に入った。ラティーノアメリカーノの代表選抜競走となった前走のリステッド競走(ダ2000m - 3歳以上)では、ウィンヒアー、オコナーという牡馬の実力馬を楽々と撃破した。重賞勝ちはないが、チリの大将格はこの馬だろう。


【ポイント】

チリ代表で優勝するとしたらこの馬。おそらく逃げるだろうが、初めての競馬場と馬場でどこまで粘れるか。



◆ サビタール(Savitar)


 ダディーロングレッグス産駒の5歳牡馬。昨年のラティーノアメリカーノにも出走し、4着と好走した。2年連続での出走となる。GⅢを2勝し、2020年のGⅠエル・デルビー(芝2400m - 3歳)では2着に入った。だが、実績はいずれも芝のレースである。ダートでは6戦しているが、勝利したのはデビュー戦の1回だけ。厳しい戦いを強いられる。


【ポイント】

「えっ、サビタールが選出されるの?」と現地でも驚かれた。国内ダートで勝てない馬が、南米の強豪が出走するここを勝てるはずがない。





ウルグアイ代表(3頭)


◆ アトレティコエルクラーノ(Atlético El Culano)


 アルコラーノ産駒の5歳牡馬。今年1月に行なわれたウルグアイ最大のGⅠ競走ホセ・ペドロ・ラミーレス(ダ2400m - 3歳以上)を優勝した。レーティング115は、現役南米馬の中で最上位である。今年は3戦して無敗。4 1/2馬身、6馬身、6 1/4馬身と、圧倒的な強さを見せている。ウルグアイ調教馬として2007年以来となる2勝目、ウルグアイ産馬としては初となる南米選手権制覇はこの馬に懸かっている。


【ポイント】

優勝候補。ウルグアイ現役最強馬。地元開催は有利。アルゼンチン勢を倒せるのはこの馬しかいない。筆者はこの馬を本命にする。



◆ アエロトレン(Aero Trem)


 シャンハイボビー産駒の6歳牡馬。2018年にGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)GⅠジョッキークルブ(ダ2000m - 3歳)を優勝し、ウルグアイ2冠に輝いた。2020,21年とウルグアイのマイル王決定戦GⅠペドロ・ピニェイルーア(ダ1600m - 3歳以上)を連覇した。実績充分だが、意外にもラティーノアメリカーノ出走はこれが初めてとなる。


【ポイント】

今年はマイル路線でドバイ遠征も計画されていた。言い換えれば、2000mはベストではないということ。今回は厳しいだろう。



◆ ブランドノワール(Blanc De Noirs)


 アグネスゴールド産駒の4歳牡馬。ブラジル代表に選出されていたヘッドオフィス(Head Office)が回避して枠が空いたため、追加登録料を払って参戦できることになった。通算成績は11戦4勝。重賞勝ちはなく、レーティング103は出走13頭中最下位である。明らかに実力不足だが、先日亡くなった父の力を借りて一発狙いたい。


【ポイント】

望みは極めて薄い。だが、追加登録料を払ったということは陣営が勝機ありと考えている?





ペルー代表(3頭)


◆ ニュルンベルク(Nuremberg)


 サウスデール産駒の4歳牡馬。2020年のGⅠポージャ・デ・ポトリージョス(ダ1600m - 3歳)GⅠリカルド・オルティス・デ・セバージョス(ダ2000m - 3歳)を優勝し、ペルー2冠馬となった。今年も6月に行なわれたGⅠジョッキークルブ・デル・ペルー(ダ2400m - 3歳以上)を勝利した。ペルーはこれまで南米選手権を9度優勝しており、これはブラジルの10勝に次ぐ2位である。2015年以来の勝利で、節目となる10勝目をペルーに届けられるか


【ポイント】

ペルー代表の大将格。優勝してもおかしくない実力の持ち主。だが、取りこぼしが多いのが気になる。