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  • 木下 昂也(Koya Kinoshita)

イラッド・オルティス、騎手人生最高の2022年を振り返る

この記事はプエルトリコの日刊紙『プリメーラ・オーラ(Primera Hora)』に掲載された "Irad Ortiz: “este es mi mejor año, sin duda”" を翻訳・改編したものになります。

 

「今年は人生最高の1年、間違いなく」


 イラッド・オルティスはここ数年目覚ましい活躍を見せているが、2022年ほど輝かしい1年はなかっただろう。イラッド自身がそのことをインタビューで認めた。彼は来年1月23日に4度目となるエクリプス賞を受賞するだろう。


「唯一無二の年となった。キャリアハイの数字を残すことができたし、多くの有力馬に乗ることもできた。こうして健康で日々を過ごせることを神に感謝する。一緒に仕事をするチームや、いつもそばで支えてくれる人たちにも感謝したい」


 イラッド・オルティスは特別競走で77勝をあげ、北米の年間記録を更新した。77勝のうち、重賞は49勝である。その中にはアメリカ3冠競走やブリーダーズカップでの勝利も含まれる。イラッドはモードニゴールに騎乗してGⅠベルモントSを勝ち、フォルテで制したブリーダーズカップ・ジュヴェナイルを含めてブリーダーズカップで3勝をあげた。


 また、獲得賞金額は3608万5259ドルに達し、北米における獲得賞金の最高記録も更新した。これまでの記録は自身が2019年に作った3410万9010ドルだった。


 305勝をあげて騎手リーディングで首位を走っている。アメリカとカナダで騎乗している100名以上の騎手の中で、イラッドの他に今年300勝を越える騎手はいないだろう。300勝を越えたのは8年連続8度目であり、勝利数における北米リーディングは6年連続6度目となる。


 イラッド・オルティスはトゥルヒージョ・アルト市のラ・グローリア地区からアグスティン・メルカード・レベロン競馬学校を卒業し、2011年、18歳のときにアメリカにやってきた。そのときから現在までにおいて、2022年は彼にとって最高のシーズンだったと言うには充分な数字である。


「2022年は自分にとって最高の1年とみなすことができる。これまでの4年間も素晴らしかったし、何もかも順調に進んだ。でも、今年は間違いなく最高の1年。勝てるチャンスのある馬に乗る機会をたくさんもらえた。ライフイズグッド、ゴールデンパル、モードニゴール、ネスト、フォルテといった有力馬に出会い、多くのビッグレースを勝つこともできた」


 イラッド・オルティスの2022年は、今年だけで重賞4勝をあげたライフイズグッド、牝馬のネスト、芝のスプリンターであるゴールデンパル、おそらく2023年のケンタッキーダービーの最有力であろうフォルテといった馬で彩られた。



 イラッドは今年もう1つのことを成し遂げた。イギリスのアスコット競馬場で開かれるロイヤル・アスコット開催に初めて参加したのである。競馬界でもっとも格式高いイベントである。


「ロイヤル・アスコットでの騎乗は、騎手としてだけでなく1人の人間としてとても特別な瞬間だった。これまでたくさんの競馬場で騎乗する機会に恵まれたが、アスコットでは乗ったことがなかった。アスコットは自分が見慣れている景色とはまるで違っていた。あそこでは競馬というスポーツに対する尊敬が比べ物にならない。亡くなったエリザベス女王が馬術競技を愛していたことが、アスコットでの特別な尊敬を育んだのだと思う。騎手に対する接し方、競馬場のデザイン、ドレスコードなど、今まで味わったことのないものばかりだった。いつかあの舞台で勝てるように頑張りたい」


 2022年の成績を見れば、エクリプス賞のトロフィーにはすでにイラッド・オルティスの名前が刻まれているだろう。獲得賞金においても勝利数においてもイラッドは要件を満たしている。


 エクリプス賞の授賞式は来年1月23日にパームビーチで開かれる。イラッド・オルティスは家族と共に出席し、自身4度目となる最優秀騎手賞を獲得することが予想されている。近5年で4回目の受賞である。


「早とちりは好きではないが、良い結果になることを期待している。成績的には受賞の要件を満たしている。4度目のエクリプス賞を手にする大きなチャンスだというのは自覚している。自分自身にとっても家族にとっても勲章になる」


 4度目のエクリプス賞受賞となれば、イラッド・オルティスは伝説のパナマ人騎手ラフィット・ピンカイに近づくことになる。ラフィット・ピンカイは5度受賞しており、これは歴代2位の受賞回数である。歴代1位はアメリカ人のジェリー・ベイリーの7回となっている。プエルトリコ人騎手としてはイラッドがすでに最多受賞回数を誇る。ジョン・ベラスケスとアンヘル・コルデーロという殿堂入り騎手は2回である。


 ベイリーが4度目のエクリプス賞を受賞したのが43歳のときであり、ピンカイは33歳のときだった。現在30歳のイラッド・オルティスはこの2人を上回っている。健康であり、さらなる経験を重ねれば、イラッドの騎手人生はもっと華やかなものになると思われる。さらに成績を伸ばし、さらにエクリプス賞を受賞することができるだろう。しかも、彼は自分が完璧ではないこと、もっと馬を理解できるようになれること、改善の余地があることを認めている。



「人は経験を積んでいき、これまで以上に準備万端という状態になっていく。自分は30歳になった。騎手という職業への経験値はどんどん上がっており、今や何が起こっても動じることはない。馬に乗ることでたくさんの経験を得られる。手の中にあるものを感じられるようになる。自分の手の中にすべてがある。手を通じて馬の口を感じ、馬が何を持っているのか、馬が何を求めているのかが分かる。これは時間をかけて獲得していく経験である。また、偉大な騎手であり友人でもある人たちの声から得た経験もある。自分に与えられるどんな助言も受け入れるように努めている。そうすることで自分はどんどん良くなっていった。自分にはまだ改善しなければならない点がある。あらゆる技術を兼ね備えた完璧な騎手になれるように自分を磨き続けている」


 また、イラッド・オルティスは自分が直さなければならない点の1つとして攻撃的な騎乗を挙げている。荒い騎乗のせいで騎乗停止処分を科され、騎乗機会を失って成績にも悪影響を及ぼしている。


「イラッド・オルティスはやや攻撃的な騎乗をすると言う人も多い。競馬のルールに沿えるよう、それは改善しなければならないことだと思っている。アドバイスももらった。今ではだいぶマシになった。今の自分は3年前の自分ではない。騎乗にアグレッシブさはあるけれど、以前よりはだいぶ落ち着いている。できるかぎり制裁を受けないよう、1つ1つの判断をより深く考えるようになった。ここ数年は騎乗停止によって勝ち星が制限されてしまっていたが、現在はスタイルを変更した成果が出ていると思う」


 最後に、参加が決まった12月11日にベネズエラのラ・リンコナーダ競馬場で行なわれる中米選手権(クラシコ・デル・カリベ)について、イラッド・オルティスは次のように述べた。


「中米選手権はとても重要な開催である。自分自身も中米選手権を見て育った。その国の代表馬が集まって、地域でもっとも強い馬が誰かを決めるレースは美しい。どの国の出身であろうと、自分の国が、自分の国の代表馬が勝てば最高の気分になれる」


Primera Hora / Fernando Ribas Reyes



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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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